緒言(野間一列)

「ふるさとは遠きにありて思ふもの~~帰るところにあるまじや」

言わずとしれた詩豪室生犀星の一句であるが、長らく私にとって麻雀最強戦は、

「最強戦遠くにありて眺むもの~~出るべきものにあるまじや」

という敷居の高いものであった。最強戦の系譜については、雀鬼桜井章一の代打ちとして片山まさゆきさんが見事優勝した第1回から、雑誌近代麻雀(オリジナル、ゴールド、別冊すべて購読)にて追い続けていた。

板川和俊プロ(現麻雀共同体WW代表)の2連覇、その翌年アマチュア代表から最強位の座に登りつめた水沼利晃さん(水沼親方)の活躍を誌面で見るたびに、自分には手の届かない気高い神の領域であると崇めていた。

 

 

月に一度3筒だけが赤い店に通う程度には麻雀を打っていたが「吸ってもええけど吐くなや!!」と叫びたいほどに煙草を嫌悪しており、雀荘に通うより自宅で麻雀動画を観る時間の方が圧倒的に長かった。

毎週火曜日23時からのモンドチャンネル(未来戦士21、女流モンド、モンド杯、モンド名人戦)、スリアロチャンネル(協会、最高位戦、麻将連合、四神降臨、鉄人など)は欠かさず観ており、この舞台に立つプロの方々には並々ならぬ敬意を抱いていた。

 

2017年6月。赤3筒がドラの店で知り合った金谷真慈さん(2018年中国最強位)の勧めで、初めて最強戦中国予選に出場した。

すべての道はローマに続くよう、この1戦が果てしない未来に向かう第一歩と思うと異様に手が震えてしまい、開始1分前くらいに思わずかなり離れた別卓者に向かって「池永くん!!震えが止まらんぞおおお!!!」と叫んで失笑をされたを今でもよく覚えている。

その後、数回の挑戦で中国地区代表選のチケットを手にした。中国地区代表選は準決勝で敗退してしまったが「これなら頑張ればいつかは地区代表にはなれるのではないか?」という思いが萌芽し、これを契機にRMU代表多井隆晴プロに本格的直接指導をお願いした。

老い先短い身であるがゆえ、翌年2018年は最強戦にすべてを捧げようとの決意を固めた。

 

本業は眼科開業医で土曜日も外来があるため、母校の広島大学眼科医局長原田先生の御厚意にて代診医を派遣してもらい、学会出張を除いては可能な限り各地の最強戦予選に参加した。