風牌の切り順について(野間一列)

風牌の切り順についてこだわりを持つ人はどのくらいおられるだろうか?

 

ドラではない、白發中が一枚ずつあった場合の三元牌の切り順については、一家言を持っている方はそれなりに多いと思われる。当然デジタルで言えば、切り順など決めない方がいいに決まってるのだが、「一番目立つ發は一番最後に切る」「一番目立つ發だから最初に切る」「東發、南中(つきもの)とあれば、それ以外から切る」といった程度の話に過ぎない。

ただし、こと風牌の切り順については戦術的な要素が多分に含まれる。

当然、二翻役となるダブ東、ダブ南について言えば「相手が重なる前に切る」という手順が、いわずもがな最高位戦の村上淳プロのポリシーとして、かなり認知されてきたと思う。

一般的かどうかはわからないが、私は例えば東1局で手牌がまとまっている場合や親番を流されたくない場合には、下家に仕掛けられて自分のツモを飛ばされたくないために、下家の風牌が重なる前にとの目的で下家→対門→上家の順に切ることが多い(三元牌も同じである)。上家の風牌はできるだけ長く持ち、上家が重ねるのを待って(ポンしてもらい、自分のツモを増やす目的で)切ることをよくやっている。

 

そんなことはどうでもいい。

今回のテーマは

「選択がある中で、相手に自分の風牌ばかりを(狙って?)切られ続けるとどんな気分になるか?」ということである。

 

遡ること35年以上前の私が麻雀を始めた頃のこと。

一緒に麻雀をしていたクラブの先輩から教わったことはただ一つだった。

「選択がある中で先輩の風牌を先に切ることは絶対に許されない」

平成生まれは勿論、同時期に麻雀を始めた人にこの話をしても、

うなずいてくれる人があまりに少ないのがとても悲しい。

 

麻雀を一緒に打っていた先輩同輩との宴席にて、酒が過ぎたら「おまえ!なんでいっつもワシの風から切るんや!!!」と絡みあいが始まるのは一度や二度ではなかった。そして、それは一人の先輩だけが気にしているのではなく、他の4人くらいいる先輩の総意でもあった。「そ、それは先輩が強いから、先に切っとかないとこわいんで…」なんて言い訳は通用しない。ある日のこと、先輩が一冊のノートを取り出し、そこには何月何日の○○の捨て牌。西北①三などと、打った局の分の序盤の捨て牌だけ書かれていたものを見せられた時には凍りついたものである。そこまでして調べていたのか?!以降、私は「オタ風の切り順ほど気を遣うものはない!効率を無視してでも別の牌を第1打に切るために腐心していかなければならない」とずっと思っていた。(その意味では雀鬼流が世に出始めた時には受け入れやすかった)勿論、ほどなく主客転倒して私も「他人がつづけさまに自分の風牌から切ること」をあまり歓迎できないようになってしまっていたのだ。「そんな時代もあったね」といつか笑える日は来ない。私にはその考えが根付いている。昭和の時代のフリー雀荘はまさに風切りを持って「戦線布告、敵意の剥きだし、お前のこと嫌いじゃ!」を表出する時代であった。「切られたら切り返す」という報復の風牌切りはもはや手順ともいえる時代であった。

 

しかし最近の若い(とはいえ40代、それ以下)人に「自分の風牌ばかり切られたら嫌じゃない?」と聞いても「はあ?何が言いたいんですか?全然気にしませんけど…」という人があまりに多いので、気になって、ツイッターでアンケートをしてもらった。

結果は「次の局以降注視する」を含めた「自分の風牌を第1打に切られること」を気にしているのは148票中たった11%に過ぎなかった…。

この結果はにわかには信じがたい….

 

事実、前回の記事にも書いたとっちゃんぼうやは、ドラではない限り常に自分(私)の風牌から切ってくる。奴以外に自分の風牌を好んで切ってくる人はここには挙げないが何人かいる。

「自意識過剰だろう?」というコメントは真っ先に退けさせておきたい。

世の中には意志を持って私の風牌から切ってくる人が何人かいるのは間違いない。

 

しかしよくよく聞いてみれば、鈴木たろうプロも私の意見に賛同してくれたし、板川代表も自分の風牌からばかり切ってくる奴には目をつけているそうだ。たろうプロからは「本人の風牌が出てきた時は手が相当まとまっていると考たほうがいい」と教えてもらった。対して瀬戸熊プロは何故か自分の風牌から切っていることが多い気がする。それは何故なのか聞いてみたいところではあるが…。

 

一年以上前に、赤い服を着た人に「自分の風牌からばかり切られると嫌だ」と言ったところ、彼とセットを組んだ時に「第1打にわざと私の風ばかり意図的に切り、そのあとニヤリと私の顔を覗き込む」ことを繰り返してきた。赤い服を着た人が西家で私が北家の時、東家が南切り、南家が南切り、赤い服着た人は私の風の北切り、次巡、赤い服着たひとはまるで天下をとったような顔でニヤリニヤリして「手出し」の南切り!途中流局はないルールなのに、2切れの南を切らずに効率を無視してまでも生牌の私の風から切ってきたわけである。冗談ではすまない。その贖罪をしてもらうために、彼にツイッターでアンケート調査をしてもらった次第である。

 

いまでこそ赤い服着た人とは仲良くやっているが、あの時の「冗談でやりました」の説明では未だに納得しきれていないのが本音である。「己の欲せざるところ人に施すなかれ」の箴言のもとに、戦略的に上家の風を先に切るのを基本にしている私も、起こりもしないいさかいを避けるために、できるだけ偏らないように風牌は切るように心がけているのだが、取りこし苦労なのだろうか….