麻雀最強戦2017 女流プレミアトーナメント女達の死闘【観戦レポート】

2017年5月6日(土)に、麻雀最強戦2017「女流プレミアトーナメント 女達の死闘」が行われ、黒沢咲が優勝、6月24日に行われるプレミアトーナメント決勝進出を決めた。人気女流プロによる死闘を、現最強位・近藤千雄とオフィシャルレポーター・梶本琢程がレポートする。

近藤千雄現最強位
近藤千雄現最強位
梶本琢程オフィシャルレポーター
梶本琢程オフィシャルレポーター

想定外の重厚さ

梶本「先日は最強戦の初解説お疲れさまでした。やってみた感想はいかがでした?」

 

近藤「まぁ緊張はしましたけど、そこそこはできたかなというところです」

 

梶本「そこそこどころか、凄く分かりやすかったです。初めて見る人もいたと思いますが」

 

近藤「いや、僕が色んな対局を見てるので、初観戦となるのは松岡千晶プロぐらいですかね」

 

梶本「そうなんですか」

 

近藤「ただ『この打ち手はどういうタイプなんですか?』って聞かれても、意外と答えられないんですよ…。数回見ただけだと、その人の麻雀を把握するのは得意ではないみたいで」

 

梶本「まあその分、先入観なしで解説できるから。その方がいいかもしれませんね。さて、では早速本題に移ります。僕は決勝を見て、黒沢咲プロ・和泉由希子プロが非常に重い打ち方をしていた印象があるのですが。いや、後の大崎初音プロと上野あいみプロが軽いという意味ではなく、あの2人がある意味頑固すぎるほど鳴かなかったなぁ、と」

 

近藤「まぁかなり重かったですね。特に黒沢は」

 

近藤「予選でもラス前で3人競り(上位2人が決勝進出)の局面なのに、2枚目の役牌の西を見送ったりしてましたからね。予選のオーラストップ目は微差でも相当偉いんですよ。特に親っかぶりのない子なら」

 

梶本「本人としては仕掛けたくない形ゆえの選択なのでしょうね」

 

近藤「オーラスのアドバンテージを取りに行かないのは相当腰が重いなぁと驚きました。で、結局すぐ門前でテンパイして5200をアガるんですけどね。鳴いて1000点よりはこっちのほうがより盤石なのですが、僕だったらさすがに西鳴きますね。他にもホンイツ手で普通なら字牌鳴いてテンパイに向かうのに、黒沢はメンホンチートイツに仕上げたりしてましたよ」

優勝した黒沢咲は6月24日の決勝ステージに進む
優勝した黒沢咲は6月24日の決勝ステージに進む

独特のバランスは経験則から得たもの

梶本「僕の先入観なんですが、黒沢プロはこういう感じの押し退きをしているほうが好成績を収めてるんですよ」

近藤「決勝でもありましたね。南3局でもトップ目でポンテン取らなかったこととか」

 

決勝南3局4巡目 南家・黒沢 38200点持ち 

梶本「この発スルーは驚きましたね」

 

近藤「2着目の大崎と11500点差。ですから1000点をアガってもオーラスのラス親で満貫ツモ圏外に逃げられるわけで、相当有利なんですよね。でも、この手格好になる前からチャンタを見てるんです」

 

黒沢・3巡目

梶本「アガリだけなら一筒か二索を選びそうです」

 

近藤「打点へのこだわりでチャンタに向かったんでしょうけど。で、その後、発のポンテン取らず。まぁ、1枚目見送っても2枚目もあるし、白も2枚あるわけですぐ鳴けそうではあります。が、とはいえ…ですよ」

 

梶本「この選択については、黒沢プロに話を伺っておりまして。『今回の対局は、いつもより特に腰の重い麻雀を打とうと思っていました。ネックとなるペン三索からは1枚目から仕掛けようと思っていましたが、字牌は1鳴きする気はありませんでした』ということでした。この後、黒沢プロは白もポンして単騎待ちになるのですが、対局後のインタビューでは凄く反省というか失敗のように言ってましたね」

 

近藤「その時は、白ポンで切る二索が場に3枚目なので鳴いた、と黒沢は言ってました。僕はてっきり白は安全牌候補にする(鳴かない)と思っていたので意外でした」

 

梶本「僕は、白発ポンだから、相手に三元役を意識させて中を切りにくくさせるほうを考えたのかな? って思ってました。で、これについて黒沢プロはこう言ってました」

 

黒沢「完全に経験則なのですが、この手は三元牌を仕掛けたあと、単騎やシャンポンに待ち変えしない方がいいと思っています。今までそれでアガり逃しをしてひどいことになるケースが多すぎて、記憶に刻み込まれていますので」

 

近藤「でも、つい声が出てしまった、と」

 

黒沢「今回もそう思っていたのですが、(画面上ではわからないかもしれませんが)大崎さんがかなり勝負! というという感じに白を打ってきて、それで思わずポンの声が出てしまいました。グッとこらえるべきだったと思っています」

 

梶本「この鳴かないほうがいいという経験則、あるいは相手の気合いを受けて衝動的にポンしちゃった、みたいな感覚は僕もよく思うことなので非常に共感できます。で、その後、親の大崎プロからリーチがかかった後は『すごく不安定で危険にさらされた一局になった』とひやひやしていた、と。これもよく分かります」

勝因は四筒勝負!

梶本「オーラスは和泉プロの逆転リーチ(全体牌図)がかかりました」

 

近藤「満貫ツモ条件ですが高目が山に3枚いたんですよ」

 

梶本「黒沢プロはすでに三六九萬でテンパっているのですが、一発目に掴んだのが四筒。これ和泉プロの入り目でもあるんですよね」

 

近藤「選択肢としては3つです。①追っかけリーチ②ヤミテンで押す③オリる。①の場合は、和泉が満貫出アガリOKになるだけでなく、大崎の逆転条件が満貫ツモ・黒沢からの満貫直撃に緩和されるんです。ですが、黒沢さんは最も強い①を選択しました。これが勝因だったと思います」

 

梶本「11巡目ですし、和泉プロのリーチの現物待ちでもないですからね。③のオリの選択をしても不思議ではない」

 

近藤「結果的にはすぐに和泉が三萬を掴んだので、打四筒を選択できれば優勝だったのですが、ヤミに構えたら、次巡オリても不思議ではないです。でも、オリたら山に高目の多い和泉が勝っていても全然不思議じゃなかった。リーチをかけると、流局したときにノーテン終了ができなくなりますから、そこを含めてもリスクの高い選択。その決断を下せたのが良かったのでしょう」

梶本「逆に和泉プロの敗因といったらどこでしょうね? 東2局に倍満をアガった後、大崎プロに満貫を放銃した局がありましたが」

 

東4局 南家・和泉の手牌

梶本「役々ホンイツの満貫が見える手牌のイーシャンテン。五萬も三索も大崎プロのリーチには無スジです。ここで和泉プロは三索をツモ切って、大崎プロの満貫に放銃するわけですが。この一打はどうでしたか?」

 

近藤「う~ん、この1巡前。大崎のリーチ一発目に七萬を勝負してるんですよね。白ポンですから、南か西を打って弱く構えることもできたんですが、和泉は前に出た。こう構えた以上、よほど巡目が進んで筋が絞り込まれるようになるまでは押すと思うんですよね。なので、この三索放銃は仕方ないと思います」

 

梶本「まだ東ラスで微差の2着目ということもあったんでしょうね。放銃しても南場の親があるし、勝負の価値のある手だということで。頭取りの決勝戦ということを考えれば、勝負手を簡単に手じまいしたくない気持ちはよく分かりますね」

 

近藤「まぁこの半荘は和泉の敗因というより、黒沢の四筒勝負が勝因だった、というのほうがしっくりきますね」

 

梶本「なるほど。ありがとうございました。また次回以降も解説頑張ってください」

和泉由希子はオーラスに逆転リーチをかけるも・・・
和泉由希子はオーラスに逆転リーチをかけるも・・・

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