麻雀最強戦2017 女流プレミアトーナメント真・女王決定戦【観戦レポート】

2017年5月20日(土)に、麻雀最強戦2017「女流プレミアトーナメント 真・女王決定戦」が行われ、池沢麻奈美が優勝、6月24日に行われるプレミアトーナメント決勝戦進出を決めた。人気女流プロによる死闘を、現最強位・近藤千雄とオフィシャルレポーター・梶本琢程がレポートする。

近藤千雄現最強位
近藤千雄現最強位
梶本琢程オフィシャルレポーター
梶本琢程オフィシャルレポーター

積極策が功を奏した池沢

梶本「今回は過去のプロクィーンと野口賞受賞者の対決となりました」

 

近藤「やはり一度勝っている人たちは知名度も高まっていることもあって、みんな雰囲気がありましたね」

 

梶本「中でも和久津晶プロの存在感は飛び抜けてませんでした?」

 

近藤「たしかに卓上を支配しているような雰囲気だったと思います。元々、雀風が超攻撃型で、視聴者の目を引きやすいタイプですし」

 

梶本「それを差っ引いても、全てのプロ団体の本場所のリーグ戦で一番上(プロ連盟のA1)で戦っているのは和久津だけですし。やはり他の選手とは格が違うという見方になるのは当然かもしれません。そういう格上のベテランと打つとき、僕でいえば荒正義プロや前原雄大プロ、金子正輝プロと打つときは少し気遅れする感じもあるわけですが、今の若手プロにはそういうところはないのですか?」

 

近藤「う~ん、自分の場合は、元々相手のことを余り気にしないところがあって、変にリスペクトしたり遠慮したりすることはありませんけど」

 

梶本「そうなんですね。『最強位にベテランの圧は通じない』…と。メモっておきました。それはともかく、その和久津プロが当然のように決勝進出しました。が、優勝したのは野口賞受賞者の池沢麻奈美プロでした。決勝戦は池沢プロが先行してそのまま逃げ切り。和久津プロは得意の攻め麻雀でラス親を迎えるまで池沢を追い詰めましたが、あと一歩届かず。そんな展開でしたが、近藤さんは池沢プロの勝因をどのように分析されましたか?」

 

近藤「池沢は終始積極的な麻雀を打っていたと思います。これは予選の話ですが、こういう手牌でリーチをかけたりしてましたね」

 

予選B卓 東2局1本場6巡目 南家・池沢

 

近藤「高めが役牌の南。だからリーチという判断なのですが。ただ、6巡目でこの手格好なら南を落とす人も多いと思います。567のタンピン三色変化もあるので」

 

梶本「安めでもメンタンピンドラ1とか。あと、三六筒を重ねていったんタンヤオのみのテンパイの後、ソーズの形が変わってのイーペーコーなどもありますね」

 

近藤「でも、仮に南を切ってテンパイを崩していた場合、この後ずっと有効牌を引けずにテンパイが復活しないんですよ。その間に石井あやプロの手がメンホンのテンパイが入って、そのロン牌を水城恵利プロが掴んでいた。石井がヤミテンなら、水城の満貫放銃で決着。そんな一局になっていたかもしれません」

 

梶本「池沢プロの積極的なリーチが、結果的にも上手くいったということですか」

 

近藤「運の良さもあったと思います。決勝の東1局のように」

 

梶本「手順で第一打三萬を選んだ局ですね」

 

決勝 東1局西家1巡目 池沢

 

 

梶本「第一打が純チャンとソーズの一通を狙って打三萬。これが結果、ドラ暗刻の結果カン二萬待ちのテンパイで即リーチ。第一打の三萬切りが効いたこともあって、浅見真紀プロから満貫を打ち取りましたね」

 

近藤「手順も悪くないし積極的に攻めた。プラス運の良さ。これが池沢の勝因だったと思うんです」

 

トップ目リーチは是か非か?

近藤「そんな池沢ですが、今度は逆に敗因になったかも? という局もありました。リードして迎えた南1局で役なし・ドラなしの三六萬待ちをヤミに構えた局です(全体牌図)」

 

 

梶本「この時点で池沢プロは44400点。2着でラス親の和久津プロとの点差が13800。で、ラスの浅見プロがダブ南ポンでソーズの一色模様。安全にヤミテンしたくなったんでしょうね。池沢プロはその理由を次のように言っていました」

 

池沢「手役の変化もないリャンメン待ちならリーチ、がセオリーかもしれません。実際、もう少し巡目が早ければリーチをかけていたと思います。ただ。浅見さんの仕掛けや、他の方の攻めに対し無防備になって直撃チャンスを与えるほど焦る局面でもなかった。しかもこちらの手はノミ手で、アガったところで決定打にもなりません。ヤミでツモれればラッキーだし、危険牌を引いたらオリる。そうするためにヤミテンしました」

 

梶本「ということでした」

 

近藤「なるほど。で、ちょっと話は横道に逸れますが、この局の和久津の序盤の手順が興味深かったです」

 

 

決勝南1局2巡目 北家・和久津

近藤「2巡目にこの形になったのですが、梶本さんなら何を切ります?」

 

梶本「う~ん、手なりで九萬ですかね。和久津プロは何を切ったんですか?」

 

近藤「実はここで東なんですよ。トイツ落とし」

 

梶本「え! それはちょっと想定外でした」

 

近藤「最終形をタンピンにみる人は少なくないので、いずれ切りそうな東ですが。でも、この段階ならひとまず九萬を切る人が多いと思うんです」

 

梶本「そうですよね。これは驚きました」

 

近藤「点差とかもありますし、678と789の三色を強く意識したのでしょう。あと、和久津は普段のリーグ戦が一発裏ドラなし(連盟公式ルール)なので、自然とそういう選択になったのかもしれません。で、最終的に789確定の二五筒待ちリーチになるわけですから『恐れいりました』という感じです」

 

決勝南1局12巡目 北家・和久津リーチ

 

近藤「で、池沢がヤミにしたのがその直前だったんですね。ところが、ダブ南ホンイツのイーシャンテンの浅見に三萬をツモ切られたり、和久津のリーチを受けたりして『あ、これけっこう負けパターンとしてあるな』と思ったんですよ。このアガリ逃しから崩れてずるずるいっちゃうかもな~、と」

 

梶本「そしたら池沢がひょっこり三萬をツモ。これで事なきを得ました。こうしてみると、紙一重で値千金のアガリだったんですね」

 

近藤「この局を和久津がアガって最終的に和久津が優勝となっていたら、池沢の敗因がこの局のヤミテンになっていたでしょうね」

 

梶本「池沢の手のような役なしリャンメンはリーチの選択が難しいですね。天鳳位のASAPINは『相手の勝負手をキッチリ潰すためにトップ目でもリーチ』というコメントをよくします。一方で、『リャンメン待ちでもトップ目で無防備になるリーチは危険。ツモればアガれるのだし、ここで他家に追っかけられて放銃すれば、それが敗因になりかねない』と考える打ち手もいますね。実際、他の対局でもトップ目がリャンメンで先制リーチをかけて失敗した例もたくさん目にしたせいか、僕もヤミテン支持派でして。近藤さんはどう思います?」

 

近藤「う~ん、まぁ最強戦のようなトップにしか意味がないシステムであれば、トップ目は他家の親を流すことを強く意識したほうがいいと思うんですよ。よほど薄いリャンメンでない限りは、リスクがあってもリーチをかけるべきだと思います。ですが、たとえばプロのリーグ戦のように『トップは大事だが、絶対ではない』というシステムであれば、ヤミテンでもいいんじゃないかな、とは思いますね」

 

梶本「こういうのって『好結果を導いた選択が正解』みたいなところがあって判断が難しいですよね。6月24日の決勝で池沢がどういう麻雀を打つのか楽しみですね」

 

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