麻雀最強戦2017 女流プレミアトーナメント野望の女達【観戦レポート】

2017年6月3日(土)に、麻雀最強戦2017「女流プレミアトーナメント 野望の女達」が行われ、高橋侑希が優勝、6月24日に行われるプレミアトーナメント決勝戦進出を決めた。人気女流プロによる死闘を、現最強位・近藤千雄とオフィシャルレポーター・梶本琢程がレポートする。

優月みかとの最強戦ガール対決を制した高橋侑希
優月みかとの最強戦ガール対決を制した高橋侑希

予選は攻めると決めていた高橋

梶本「今回のプレミアトーナメントは野望の女達ということで、プロのキャリアが浅めの打ち手同士の対局でした。前2回ほど派手な展開とはならなかった印象がありますが、そのあたり近藤最強位はどうご覧になりましたか?」

 

近藤「予選などは相手のリーチに無筋をバンバンかぶせに行ってたと思いましたが。ただ安い手だったり流局したりしたのが荒れなかった原因かもしれませんね。手もさほど入らなかったことに加え、打ち手の多くが粗削りで、手役をあまり狙わなかったこともその理由の1つにあったと思います」

 

梶本「優勝した高橋侑希プロについてはどういう印象でした?」

 

近藤「高橋は、解説の馬場裕一プロから『守備的な打ち手』ということを伺っておりまし。が、予選では結構攻めていましたね。たとえば、予選では、このような手で親リーチに押し返してました」

 

予選A卓 東4局1本場12巡目 南家・高橋 25600点

 

梶本「ドラ2のイーシャンテンですね。結果、一筒をツモ切ってリーチのみの2000点の放銃。ただ、良形ですし、この手からなら押す人も多いのでは?」

 

近藤「そうですね。とはいえ、親リーチに無筋を最低2つ勝負するわけですし、この巡目で現物も多いので、守備的な打ち手ならもうオリても不思議ではない。高橋はどうするんだろうと思って見ていました」

 

梶本「高橋プロは『予選は、多少失点しても挽回がきく。特に勝負ができる手牌、または親番ではより強気で向かおうと考えていました』と言っていました。だから南1局の親ではこんなリーチもかけたんだと思います」

 

予選A卓 南1局11巡目 南家・高橋 26500点

 

近藤「これはさっきの一筒押しより意外でしたね。もちろん守備型だというイメージがあったからですが」

 

梶本「親の押さえ込みリーチなのですが、ドラ切りリーチだとやや迫力も欠けで、待ちも悪い。巡目を考えても、手が整った相手から返り討ちをくらう可能性も高そうですからね。実際、赤木プロが追いついて満貫のツモアガリ。高橋は親っかぶりで3着に転落しました。が、その次局、高橋にこんな手が入るんです(全体牌図参照)」

 

 

近藤「あ、ここで高橋は即リーしましたね」

 

梶本「これ、状況的に相当ヤミにしたいと思うんです。2巡前に赤木由美プロが発を捨てていて、ヤミなら発は誰からでも取れそう。満貫をアガれば2着以上には浮上するわけですし。にも関わらず即リーチ。これははかなり強気だなぁ、と。前局の親っかぶりのせいでアツくなってついリーチをかけてしまったのかな、とすら思いましたね」

 

近藤「まぁ1枚切れの発狙いという感覚のリーチなのでしょう。予選は終始強気だったし、僕はこの姿勢は良いと思いましたよ」

 

梶本「このリーチについては、高橋プロはこう話していました」

 

高橋「アガるならハネ満以上に仕上げたい。リーチなら五八索ツモでもOK。あと、出るなら発のほうだし。特に、ここまで他家の打ち方をみていて『オリるときに字牌を選んでくれる可能性は高い』という印象が残っていたんです。東4局2本場で、私は東と三索のシャンポンでリーチをかけ、大久保朋美プロから東を打ち取れたりしていたので。それと同じで、今回も字牌の出を期待しました。もちろん流局する可能性もありますが、予選は強気に行くと決めていたので、迷いなくリーチができました」

 

近藤「なるほど。たしかに『字に甘い』というイメージがあればよりかけたくなるリーチですね。この局面だと、特に優月がソーズの一色手に走っているぶん、もう1枚の発を持っている可能性もあるし」

 

 

 

梶本「結果は赤木プロが発を掴んでハネ満。これが決勝進出の決め手となりました」 

小笠原は大事な場面になると表情が独特になる
小笠原は大事な場面になると表情が独特になる
無きテクニックを披露した都美
無きテクニックを披露した都美

高橋の持ち味はやはり守り

近藤「逆に決勝では、東パツに満貫をアガってリードしたからなのか、馬場さんの情報通り高橋は守りぎみに構えていましたね。僕は決勝のポイントはこの局面だったと思います」

 

決勝南2局13巡目 東家・高橋 31700点

 

近藤「西家・優月みかプロのリーチを受けた一発目に高橋も役なしカン四萬で追いついたところです。五六索ともに通っておらず、ここでどうするのかな? と」

 

梶本「高橋プロは現物の八萬を抜いたんですよね」

 

近藤「おそらく予選の高橋なら追っかけリーチをかけていたと思うんですよ。僕はそちらのほうがいい結果になりやすい気がします」

 

梶本「なぜですか?」

 

近藤「トップ目とはいえ、全然セーフティなリードではないですから。弱気になったことが敗因になりかねない。仮にリーチをかけていたら四萬をツモっていたので、『あ~、これは勝機を逃したか?』と思いましたが」

 

梶本「この局面について高橋プロに伺ったところ、こういう回答でした」

 

高橋「予選のように攻めるなら、そもそも9巡目の打七萬のところでドラの三萬を手放して目いっぱいに構えたと思います。3巡目に一萬を捨てていて二萬引きだとフリテンになることもありますし」

 

決勝南2局9巡目 東家・高橋

 

高橋「ただ、決勝は頭取り。トップ目にいる以上、慎重に構えました。残したドラが重なったり、四萬ツモならリーチをかけようと思っていて」

 

梶本「で、実際には先制されてからのカン四萬テンパイ。高橋プロは長考の末、暗刻落としを決断。それはこういう理由だったそうです」

 

高橋「慎重にいくと決めた以上、押す姿勢を見せるよりも『リーチをかけられても危ない牌は切りません。私から直取りは無理ですよ』という姿勢を見せたかったのもありました。後手に回ったトップ目で不用意な放銃はしたくなかったので」

 

近藤「なるほど。こちらのほうが本来の高橋のスタイルなんでしょうね」

 

梶本「で、この局は流局し、次の南3局1本場で優月プロが789の三色を決めていったんは逆転。オーラス、ラス親でトップ目の優月プロと高橋プロの点差は4500点」

 

近藤「優月はアガってもノーテンでも優勝なので、ほぼ1局勝負ですね」

 

梶本「が、高橋が2巡目にチャンタでテンパイし、再逆転で優勝を決めました」

 

決勝南4局 西家・高橋

 

近藤「南2局1本場でカン四萬アガリ逃しからのこの展開での優勝は少し不思議な感じがしましたね」

 

梶本「2着取りの予選は攻め、頭取りの決勝は慎重に。これは過去の対局者の姿勢とは逆のような気がしますが」

 

近藤「たしかにそうですね。ただ、予選の場合は終盤に調整的に受けることがあるぐらいで、基本は予選も決勝も同じで攻めなくてはいけないと思いますよ」

 

梶本「近藤さんがよく仰るように、予選では『東場ではトップを目指し、南場は着順に合わせて調整する』というやつですね」

 

近藤「高橋プロが特に予選で攻めていたのは、自身が受け重視ということを把握しているからこそ、より強く攻めの気持ちを持って臨んだのでしょうね」

 

梶本「さて、近藤さん。いよいよ次回はプレミアトーナメント最後の戦い、そして優勝者が決まりますね」

 

 

近藤「誰になるんでしょうね? 楽しみです」

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近藤千雄現最強位
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梶本琢程オフィシャルレポーター
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