麻雀最強戦2017 女流プレミアトーナメント決勝戦【観戦レポート】

2017年6月24日(土)に、麻雀最強戦2017「女流プレミアトーナメント 決勝戦」が行われ、水口美香が優勝、初のファイナル進出を決めた。人気女流プロによる死闘を、現最強位・近藤千雄とオフィシャルレポーター・梶本琢程がレポートする。

初のファイナル進出を決めた水口美香
初のファイナル進出を決めた水口美香

予選は攻めると決めていた高橋

 

梶本「4回のプレミアトーナメントの解説お疲れさまでした。さて、最後の予選を制したのは水口美香プロ。その水口プロがそのまま決勝戦もトップを決め、ファイナルに進出を決めました。ただ、決勝に関しては水口はラス親を引いたとはいえ、思ったほどチャンス手は来てない印象がありましたが」

 

近藤「どちらかといえば高橋侑希プロのほうが、テンパイもよく入っていましたし、分岐点も多かったですよね」

 

梶本「じゃあ、近藤さんは水口プロの勝因をどのあたりだと思われます?」

 

近藤「やはり南3局のカン七萬のアガリでしょうね」

 

南3局1本場 南家・水口

梶本「タンヤオドラ2、8巡目でカンチャン待ちのテンパイ。ただ、水口は18100点のラス目なんですよね。そこまでの打ち方を見ていると、ここはリーチをかけそうな雰囲気があったんですが」

 

近藤「僕はこれはヤミテンのほうが断然いいと思います」

 

梶本「断然ですか? そこまで(リーチとの)差があるようには思えませんが」

 

近藤「この局の点数状況がこのような状況」

 

高橋(西家)35500

池沢(北家)23100

黒沢(東家)23000

水口(南家)18400

 

近藤「ヤミがいい理由のひとつは、このままアガれば、オーラスで黒沢咲と池沢麻奈美の満ツモ条件が消えるんですよ。そうなると水口は、トップ目の高橋と1対1の状況になりますよね」

 

梶本「たしかに」

 

近藤「水口の立場だと、たとえば食いタンのみ、1000は1300をアガるだけでも、オーラスは満貫ツモで逆転トップになるんです。なので、ドラなしの手でもヤミテンでいいぐらいです」

 

梶本「じゃあリャンメンだったら? たとえば同じ8巡目で、カン七萬じゃなく四七萬待ちテンパイだったらどうでしょう。それでもヤミですか?」

 

近藤「はい。それでもヤミテンでいいでしょう。水口は、仮にここでハネツモしたとしても、結局オーラスでもう1回アガリが必要ですから」

 

梶本「じゃあ、この局は流すことが最重要テーマだと」

 

近藤「はい。というのは、この南3局は親の黒沢がまずオリない。水口がリーチをかけてもほぼ押し返されるでしょう。この局もつれて、黒沢が点棒を増やせば、水口は高橋との一騎打ちどころか、単なる三つ巴になるかもしれない。こうなると運任せの要素が強くなってしまう」

 

梶本「たしかに接戦だとラス親のメリットが生かせないですもんね」

 

近藤「アガリ自体が偉い場面ですから、ここは打点上昇よりアガリ速度を上げべきだと思いますよ」

 

梶本「じゃあ、この手、実はトップ目の高橋から出るのは嬉しくないってことですか? 出場所最高なのに…」

 

近藤「全員、満貫出アガリOKになりますからね。嬉しくはない…、が、かといって見逃せないですけどね」

 

梶本「実は水口プロも近藤さんとほぼ同じような考えをしていたようです。オーラスの一騎打ちを狙ってヤミテン。でも『その意味では、このヤミテンは高橋さんからはアガりたくなかったですが、出たら渋々アガったと思います』と仰ってました」

 

近藤「結果、水口は11巡目に黒沢から七萬をロンするのですが、このときの黒沢の手がこの形」

 

南3局1本場11巡目 東家・黒沢

 

近藤「ここで黒沢は四萬をスライドさせて七萬を切るのですが、仮に水口がリーチならどうです?」

 

梶本「水口プロの捨て牌には一萬があるから四萬をツモ切りそうですね。リャンメンならどっちを切っても同じですが、愚形待ち(カンチャン・ペンチャン)を考えれば、七萬のほうが当たりそうだから」

 

近藤「ヤミだからこそ出た七萬だし、上手くオーラスに持ち込めた。ある意味、水口の作戦が功を奏したといえると思いますよ」

 

ラス前に水口に痛恨の放銃をした黒沢咲
ラス前に水口に痛恨の放銃をした黒沢咲

リーチ選択で変わった運命

梶本「一方、最後に水口プロにかわされて敗れた高橋プロについてですが」

 

近藤「高橋はいい感じに強気の押しが決まっていて、それこそ勝ちパターンに入っていたように思えました。たとえば南1局1本場」

 

南1局1本場 東家・高橋11巡目

 

 近藤「南家の池沢が5巡目リーチ。で、白ポンの高橋もじわじわ追いついて四七索テンパイ。が、そこへドラの東を掴んでしまう」

 

梶本「東は池沢が雀頭だったんですよね。このション牌は押せないかな、と思ったのですが」

 

近藤「相当悩んでましたよね。たしかに高橋は29800点持ちと、一応トップめ。でも。池沢に対して現物が七索1枚しかないので『押さざるをえない』だったかもしれません。ですが、高橋本人も『勝ち切らなきゃいけない』という意識をかなり強く持っていたので、結局押していたとは思いますけどね」

 

梶本「この押し返しが以前の高橋プロとはひと味違うこともあって、実況席では『ニュー高橋』なんてコメントも出てましたね。この後、ドラの東が1枚切れを受けて、水口もドラ単騎で追っかけリーチ。この厳しい状況のなか、高橋が四索ツモで競り勝つ」

 

近藤「いかにも、これが決め手になって優勝、みたいなアガリでしたよね。が、続く1本場(全体牌図参照)が微妙な1局でした」

 

梶本「まず池沢プロが九筒単騎の一通確定リーチ」

 

近藤「これをノータイムでリーチをかけられるのはいいなと思いました。ピンズの景色はいいし、ヤミでもあまり良い変化はないですから。マンズの変化は一通が崩れそうだし、ソーズは一四索ぐらいで大して良い場況とはいえないですからね」

 

梶本「手牌は黒沢プロのツモ番ですが、このテンパイでリーチはかけづらいですよね」

 

近藤「うーん、ちょっとね。マンズの変化は六萬を捨てているので微妙ですが、ソーズの変化が豊富ですからね。僕もテンパイを崩すでしょう」

 

梶本「すると直後に高橋プロが、ドラの五索を引いて八索を切ってリーチ。黒沢にしたら『先にリーチだったかなあ』と思ったでしょうかね?」

 

近藤「まぁこの八索を捕まえるのは難しいでしょう。それより、高橋の追っかけリーチが微妙だったかも。つまり、ドラ五索を引く前のタンヤオドラ1のときに即リーだったかな、と」

 

梶本「池沢プロの現物待ちとはいえ、たしかにピンズ待ちは絶好に見えますね」

 

近藤「でも、ドラの五索を引いて八索と入れ替えて7700にアップ。『あー、これを待ってのヤミだったか』と思った。打点的にも充分で、ヤミテン続行か…と思ったら追っかけリーチ。あれれ? という感じでしたね」

 

梶本「リーチでツモれば決定打になりますが、少なくとも脇の二人から二五筒が出づらくなりますからね」

 

近藤「結果論ですが、2巡後に水口が五筒を掴んで、高橋がヤミならこれを捕まえていたかもしれませんからね。そうなると全然違う展開になっていたかも。とはいえ、普通は最初のテンパイで即リーだと思うので、このアガリを拾うのは難しいでしょう」

 

一通単騎待ち即リーを見せた池沢麻奈美
一通単騎待ち即リーを見せた池沢麻奈美
優勝目前でまくられ悔し涙の高橋侑希
優勝目前でまくられ悔し涙の高橋侑希

梶本「さて、水口がファイナル。実は水口プロは、昨年もサイバーカップの決勝まで進んであと一歩でファイナルだったのですが残念ながら敗退。その部分を踏まえて意気込みを伺ってみました」

 

水口「去年のサイバーカップは頭が真っ白でしたが、今年の最強戦は一年間積んできた経験で去年よりも落ち着いて打てました。今回の32分の1のプレミアトーナメントを勝ったので、16分の1のファイナルもクリアできるはず!」

 

 

近藤「まぁ僕もそのつもりで連覇に挑みますよ」

ファイナルでも魅惑のサウスポーが暴れる!
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近藤千雄現最強位
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梶本琢程オフィシャルレポーター
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