2017年7月8日(土)に、麻雀最強戦2017「男子プロ代表決定戦 超技巧派大激突」が行われ、猿川真寿が優勝、3年連続のファイナル進出を決めた。人気女流プロによる死闘を、現最強位・近藤千雄とオフィシャルレポーター・梶本琢程がレポートする。

予選は攻めると決めていた高橋
梶本「6月の女流プレミアトーナメントが終わり、久々に男性プロ同士の対局となったわけですが、今回の決勝は凄すぎましたね」
近藤「面白かったですね」
梶本「優勝した猿川真寿プロは3年連続でファイナル進出。ただ、今年は特に手役にこだわった打ち筋が印象的でした。まずこの場面」
東2局10巡目 東家・猿川真寿 23000点

梶本「親で白ポンの後に発も鳴けてカン二筒待ちのテンパイ。が、打一筒でホンイツへ向かいました。この打ち方、近藤最強位はどうご覧になりました?」
近藤「やはり2900と12000では打点が違いすぎるので、僕も同じように打つと思うんですよ」
梶本「お、そうなんですね」
近藤「マンズが連続形ですぐテンパイ復活しそうですからね。2900テンパイがカンチャン待ちなので、これは親でもテンパイを崩す価値が高いです」
梶本「結果、すぐに四萬を引いて三六五萬という最高の待ちで復活。が、角谷ヨウスケプロがリーチでアガりきり、この手は実りませんでした」
近藤「猿川さんの打点重視の打ち方は他でもありましたね。角谷と同点トップ目で迎えた南1局もそう」
南1局3巡目 南家・猿川真寿 30100点

梶本「カンチャン待ちとはいえタンヤオがあって出アガリの利く形。猿川プロは打六萬でこのテンパイを崩しました」
近藤「狙いはよく分かるんですが、僕はこれテンパイ取りそうです。トップ目ですしね」
梶本「ピンズのイーペーコーと、あと234の三色…、はちょっと難しいですか」
近藤「ツモ二筒だと一四筒のピンフになるので、ここはリーチしょう」
梶本「結局五筒を引いてカン四筒のイーペーコーになったところで猿川プロはリーチ。最近は打点重視の打ち手が増えたということをよく耳にしますが、やはり最初のテンパイを崩す人が多いんですか?」
近藤「いや~、さすがにこれは猿川プロならではの打ち筋だと思いますよ。高打点を狙おう・リードを広げようという強い意志が随所に見られました。あと、押し退きの部分でも攻めに出ることが多かったと思います」


見応えのあったラス前の攻防
梶本「さて今回の決勝で、視聴者の度肝を抜いたのがこの局面でした(全体牌図)」

近藤「角谷の七萬単騎のリーチの局ですね」
梶本「その前にまず猿川プロの構えなのですが、9巡目に四七萬待ちのテンパイを入れてヤミテン」
南3局9巡目 北家・猿川真寿 38700点

梶本「直後に六索ツモでソーズが四五六索になり456の三色確定形に変化。ただ、そもそも前巡の高目イーペーコーの段階でリーチを打つのでは? と思ったのですが」
近藤「ああ、なるほど」
梶本「2着目の鈴木たろうプロとの点差が6500点差ですし、ここで満貫ツモならけっこう有利だと思うんですよ」
近藤「難しいところですね。これは打ち手の考え方に拠るところでして。猿川さんは親のないトップ目で、角谷・たろうさんの親を流す段階なんですね。ですから、今回は角谷の親をヤミで確実に流し、僅差でもいいのでたろうさんとの一騎打ちのオーラスに持ち込むことを優先させたのだと思います」
梶本「え、でもどうせ一騎打ちならリードは大きい方が良いでしょ?」
近藤「もちろん3万点ぐらい差がつけば話は別ですが、親のアガリ1回で逆転される圏内なら点差はそれほど重要な要素じゃないと思います」
梶本「2000点差も13000点差も変わらない、と」
近藤「ただ、ここで満貫ツモならたろうさんと16500差。これだとオーラス、たろうさんの親満ツモで圏外に出るので、このボーダーライン超えを狙ってのリーチはあると思います」
梶本「それでもヤミを貫いたのは、やはり親流しが優先だったからですね」
近藤「はい。リーチでも角谷はオリないですから。いつも以上に(笑)。逆に、この局が長引いて角谷が4000オールとかアガるとかなり面倒じゃないですか。オーラス三つ巴の状況になれば、それこそ猿川さんの優勝確率が下がってしまう」
梶本「なるほど。だから猿川プロは三色に変化した後もヤミテンを続行したんですね。でも、その後角谷プロが何と一四筒のノベタンを捨てて、猿川のロン牌でもある七萬単騎でリーチ。これには驚きました」
近藤「まぁ対局後のコメントを聞く限り、猿川さんに七萬が危険だからという感じではなかったですね。単純に一筒が薄くて実質四筒と七萬の選択で。4と7なら(後スジのかかる)7のほうが良いとか、マンズの場況が良いからという理由なのでしょう。ま、こういう単騎リーチは角谷らしいですね。昨年のファイナルでもこういうリーチを決めてましたから」
梶本「この局は、この2人のテンパイをかわしてたろうプロが中白ドラ2の満貫を決めてトップ目でオーラスへ。でも、オーラスではたろうプロの先制リーチに対し、猿川プロが粘りのアガリを決めて再逆転。3年連続8分の1をクリアしてファイナルに進出しました」
近藤「ほんと、オーラスで強いですね、猿川さん。見事な勝利だったと思います」



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