麻雀最強戦2017 著名人代表決定戦 技巧編【観戦レポート】

2017年8月6日(日)に、麻雀最強戦2017「著名人代表決定戦 技巧編」が行われ、本郷奏多が優勝、初のファイナル進出を決めた。豪華メンバーによる死闘を、現最強位・近藤千雄とオフィシャルレポーター・梶本琢程がレポートする。

初のファイナル進出を決めた本郷奏多
初のファイナル進出を決めた本郷奏多

数少ない好機を逃すな

梶本「今回も例年に劣らないほどの豪華メンバーが集まった著名人代表決定戦でしたが、決勝に進んだのが本郷奏多さん・高須克也さん・藤田晋さん・東国原英夫さんの4名。決勝では本命の藤田さん(2014最強位)を倒して本郷さんがファイナルに駒を進めました。ズバリ、近藤最強位は本郷さんの勝因はどこだったと思いましたか?」

 

近藤「今回、藤田さんと本郷さんは配牌も今一つで。テンパっても待ちが悪かったり、とチャンス自体が少なかったと思います」

 

梶本「たしかに高須さんと東国原さんとは手材料に歴然とした差がありましたね。ゲスト解説の西原理恵子さんからは本郷さんは『ペンチャン王子』『カンチャン王子』と言われるほどで。まぁそこを埋めて手を進められたからツモは良かったんですかね」

 

近藤「とはいえ、やっぱり微妙な待ちのテンパイが多かったですよ」

 

梶本「九萬4枚切れの六九萬待ちとか、ドラのカンチャン待ちとかありましたね」

 

近藤「そういう待ちでもきっちりリーチをかけていたのが良かった。空振りもあったけど、要所要所でアガリを決め、数少ないチャンスを生かしていたと思います」

 

梶本「やはり最大の要因は南2局の『ツモ番なし追っかけリーチ』ですか?」

 

近藤「そうですね。決断のリーチが見事にハマった一局でした」

 

梶本「トップ目で親の高須さんが8巡目リーチ。回し打ちしていた本郷さんが超終盤で追いつきます」

 

南2局17巡目 北家・本郷

梶本「ここで本郷さんは打七萬で追っかけリーチ」

 

近藤「高須さんのリーチがカン八萬だったのでどちらを選んでも放銃はないですが、とはいえよく押しました」

 

梶本「放銃になった後の得点状況を考えれば、なかなか押せないですよね」

 

近藤「が、この決断によって一発で三萬を掴んだ高須さんから討ち取り。待ちの三萬が裏ドラになってハネ満。一気に形勢が逆転しました(本郷が36700でトップ目。以下、東国原23500・藤田21100・高須18700となる)」

 

梶本「ヤミなら1600点止まりですからねぇ。ちなみに三萬のほうが待ちとしていい理由とかありました?」

 

近藤「いや、三萬七萬の危険度も、待ちの良し悪しも大差ないですね。本郷さんも勘で選んだのだと思います」

 

梶本「実はこの時点で山はあと2牌。つまりツモ番なしリーチ(最強戦ルールではツモ番がなくてもリーチ可能)だったのですが。ハイテイの藤田さんはまず放銃しないので、実質高須さんのツモ1牌に賭けた追っかけリーチでした」

 

近藤「チャンスを逃がさないという気持ちが見事に実りましたね。親のない本郷さんはどうしてもアガリ回数が限られてしまうので、高須さんの親リーチの時点では『親の安い連荘を願って無理をせず、テンパイ料獲得を目指す』と考えていたのでしょう。実際それがベターだと思います」

 

梶本「が、最終的にメンゼンでテンパった。なら1回のチャンスも生かしたい、と考えたのでしょうね」

 

近藤「昨年のファイナルの角谷ヨウスケプロもこういうリーチをかけてましたね。リーチ棒を大事にしてヤミテンにする人もいますが、ツモ番なしリーチはリスクが非常に小さい(放銃する可能性がほぼない)ので、トップ取り麻雀では活用してほしい戦略だと思いますよ」

 

梶本「ちょっと話が逸れますが、よくヤミテンの理由を聞いたときに『リーチ棒がもったいないから』とおっしゃる方がいらっしゃいます。が、僕はそれが理解しがたくて。リーチでアガリ点を高くしたほうが得じゃないのか、と思ってしまうのですが」

 

近藤「あー、なるほど。僕もそうですね。たとえば3900を満貫にできたら大きいじゃないですか。たしかに4100点増やすために1000点棒を出すのは、アガリ確率も考慮すればそこで悩む気持ちも分からなくはないですが。が、数少ないチャンスを無駄にするほうが勿体ないと思います。特に追う立場だったら尚更でしょう」

 

梶本「1000点をケチって一発裏ドラの権利を放棄する方が勿体ないですよね」

 

近藤「もちろん時と場合によりますよ。全員が明らかにベタオリでツモ番もないならリーチ棒を出す意味ないです。今回だと高須さんがリーチだったからかける価値があったわけで」

 

梶本「ちなみに打ち上げで加藤哲郎さん(予選A卓で敗退)が『いや~、あのリーチはなかなか打てないよ』とおっしゃったので、僕が『いや、でも加藤さんもかけると思いますよ』と言ったら『まあ最強戦のトップ取り麻雀ならかけるかな』っておっしゃってました」

 

近藤「でしょうね。最強戦のシステムに慣れている人はそうすると思います」

多彩な打ち回しで南2局までトップ目だった高須克弥
多彩な打ち回しで南2局までトップ目だった高須克弥
準優勝の藤田晋
準優勝の藤田晋

打牌の説得力が増した本郷

梶本「南3局1本場も物凄い局面がありましたね(全体牌図)。まず本郷さんが二五索でテンパイ。その後、藤田さんも食いタンで2フーロ。そこに本郷さんはドラの六萬を勝負し、藤田さんがポン。まぁこのテンパイならドラは押しますよね?」

 

近藤「そうですね」

 

梶本「けど、次の7索はどうでしょう。かなり切りづらくないですか?」

 

近藤「う~ん。ソーズの情報は全くない。逆にピンズは藤田さんもけっこう捨てていて、かつ高須さんの捨てたピンズも鳴いてない。待ちはかなりソーズっぽいです。実際、藤田さんの待ちは2索雀頭のカン6索でしたね」

 

梶本「仮にここでオリて藤田さんに4000オールを引かれても7000点程度のビハインド。逆に直撃を食らうと致命傷になる。だからここでオリても不思議ではないと思いました」

 

近藤「ただ、オリたとして現状通りそうな牌が五萬の2枚。ソーズがもう少し通りそうなら止めていたかもしれませんね。逆に、この7索が通ればスジの4索が安全牌候補になります。五萬と合わせて切れる牌が4枚になれば、次の危険牌でオリる。そんな感じじゃないですか」

 

梶本「あ、なるほど」

 

近藤「でもこういった本郷さんのバランスも、2年前と比べてとても進化していますね。以前の対局を見たとき『何でこの牌を押して、この牌を止めるんだろう』という謎が多かった。おそらく根拠はあまりなかったはず。ですが、現在は打牌の意図がよく伝わりますね」

 

梶本「この2年、本業で忙しい合間を縫ってかなり打ち込んだのでしょうね」

 

近藤「本郷さんは押しだけでなく退きもいい場面がありましたよ。南4局1本場、ラス親の東国原さんが満貫で逆転トップのリーチをかけている場面です。が、本郷さんも粘って終盤にチートイツで追いつきます」

 

南4局1本場16巡目 南家・本郷 36100点

梶本「リーチに無筋の五筒か六筒を切ればテンパイ。仮にオリたとしても東国原さんに親満をアガられたらアウト。流局しても、東国原さんとこの局押している藤田さんにもテンパイ料で点差が詰められてしまう。そういうことを諸々考えたらこの局でケリをつけたい気持ちに駆られそうですね」

 

近藤「ただ、今度はさっきと違って追う側ではなく追われる側だからきっちりオリましたね。だから何でもかんでも行くのではないことが分かりますよ」

 

梶本「勝因としては押し切った局が目立ちますが、こういうバランスの良さも隠されていたわけですね」

 

近藤「そうだと思います」

 

梶本「さて、次回は全日本プロ代表決定戦ですね。昨年は近藤さんもここから勝ち上がってファイナルに進み、最強位を獲得しました」

 

近藤「もう1年経つんですね。勝ち上がりはなかなか大変ですが、得られるものも大きいので皆さん頑張ってほしいと思います」

 

東国原英夫
東国原英夫
本郷が主演の実写版アカギ続編は2017年10月放送開始だ
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近藤千雄現最強位
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梶本琢程オフィシャルレポーター
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