麻雀最強戦2017 全日本プロ代表決定戦【観戦レポート】

2017年9月24日(日)に、麻雀最強戦2017「全日本プロ代表決定戦」が行われ、浅井裕介が優勝、初のファイナル進出を決めた。豪華メンバーによる死闘を、現最強位・近藤千雄とオフィシャルレポーター・梶本琢程がレポートする。

初のファイナル進出を決めた浅井裕介
初のファイナル進出を決めた浅井裕介

数少ない好機を逃すな

梶本「今回は全日本プロ代表決定戦。近藤最強位は予選・代表決定戦と2日間の解説お疲れ様でした」

 

近藤「今年は過去の全日本プロ代表決定戦に比べて、最強戦にゆかりの深い選手が強かったですね。2年連続の新谷翔平プロや、今年の別の予選で敗退した高橋侑希プロや魚谷侑未プロが登場もあって、例年の全日本プロ代表決定戦とはちょっと違った雰囲気だったんじゃないですか?」

 

梶本「そんなメンバーのなか、今回優勝を決めたのは最高位戦の浅井裕介プロですが、『日本一切れやすい麻雀プロ』なんてキャッチフレーズをつけられていましたね」

 

近藤「たしかに面白いですけど、何にそんなに切れるんでしょうね?」

 

梶本「ご本人曰く『私生活から何から切れてる事が多いから』。筋が通っていない行動を許せなくなる性格なのだそうです」

 

近藤「「理不尽なことが常に起こる麻雀だと、ストレスが溜まってしょうがないでしょうねえ」

 

梶本「なんでも以前、公式戦で相手にメンチン三暗刻をアガられたときに、点数申告まで2分ぐらいかかったことに切れてしまったそうです。その影響からか、後の局で手牌を勘違いしてノーテンリーチをかけて流局チョンボになったこともあるとか」

 

近藤「なるほど」

 

梶本「ですが、今回の対局では我慢強い面が目立ってましたね。たとえば予選のオーラスでこのテンパイ」

 

予選A卓 南4局6巡目 東家・浅井 18000点 

 

梶本「この時、下家の高橋プロが白・発ポンの2フーロでもう待ったなしの状況。が、浅井プロは何とここで打五索でテンパイを外します。その後、六萬ツモで四七萬待ちテンパイでリーチ」 

 

梶本「きっちり七萬ツモでアガリを決めました。が、このテンパイ崩しが衝撃的でして。この状況で最初のカン六索待ちを崩せるものですか?」

 

近藤「下家が2つ仕掛けているなかで、テンパイを外すというのは五七索を切らなきゃいけないわけで。こっちも打点もあるし『カン六索でもしょうがないか』という気もします…でも、外すかもしれないですね」

 

梶本「そうなんですか?」

 

近藤「カン六索即リーチをかけても、高橋さんがオリてくれないかもしれないですし」

 

梶本「たしかに…テンパイならもオリなさそうです」

 

近藤「好形のイーシャンテンでもオリないかもしれません。親リーにオリきれないと思えば攻めるしかないので。あと、状況的に2着の高橋さんと3着の新谷くんが1500点差で、そこの争いも熾烈ということもあります。状況的に2人ともオリない可能性もあるんですよ」

 

梶本「つまり親リーが抑止力になりにくいんですね」

 

近藤「だからなおさら好形テンパイで勝負したくなる。マンズが好形だからテンパイ復活自体は難しくないし。ただねぇ、白発ポンでの高橋さんの捨て牌がこうで」

 

南家・高橋の捨て牌

 

近藤「五七索もまあまあ鳴かれそうじゃないですか。即リーかテンパイ崩しか。本当に迷います」

 

梶本「そこで浅井プロにテンパイ崩しの真意を伺ってみました。大体、近藤さんの指摘通りでしたが、もう1つの要素がありました」

 

近藤「何ですかね?」

 

梶本「6000オールだとトップで即終了ができる。それを狙っていたようです」

 

近藤「なるほど。打五索なら678の三色とかメンタンピンツモドラ2のハネツモがみえますからね」

 

 

梶本「で、実際四七萬待ちでリーチ。七萬ツモって『さぁ後は裏ドラ、乗れ!』って祈る浅井プロでしたが結果は乗らず。相当嫌な気分でもう1局を迎えたそうです。その曲を無事凌いで決勝に進んだ浅井プロですが、本人としては少し疲れたでしょうね」

予選で四暗刻をツモった石原真人
予選で四暗刻をツモった石原真人
決勝オーラス、浅井のリーチに困る魚谷侑未
決勝オーラス、浅井のリーチに困る魚谷侑未

どこまで我慢が利くか

梶本「浅井プロは東場でも我慢の一打がありましたね。高橋プロの一通ペン三筒待ちリーチに対し、我慢してオリを選んだ場面です」

 

近藤「高橋プロのリーチの捨て牌が強かったんですよね」

 

東4局2本場 南家・高橋の捨て牌

 

梶本「ただ、16巡目とはいえ浅井プロもチャンス手のイーシャンテン」

 

16巡目 東家・浅井の手牌

 

梶本「浅井プロは11400点のラスめですから、アガりたいのはもちろん、連荘自体の価値が高い大事な場面。だから、てっきりこの三筒も押すものかと思いました」

 

近藤「巡目の深さが一番の要因だったんでしょうね。好形とはいえ、あと2回のツモではテンパイする保証もないし。だから押さなかった。そこまでは、たとえばリーチ一発に無筋の一索を勝負したりしてましたけどね」

 

梶本「浅井プロは『三筒はそこまで危険だと思わなかったので押したい気持ちで一杯でしたが、巡目が深くアガリが薄いこと、テンパったときに出るソーズが危険だったので』という理由からオリたそうです。また、2位まで勝ち上がれる予選だからこそ我慢した、と。トップの三盃志プロまでは25000点差あるけど、2着の新谷プロまでは14000点差だから一撃で並ぶことも可能ですからね。決勝なら止まらなかったかも、と仰ってました」

 

近藤「その我慢はオーラスのアガリにも生きたかもしれませんね」

 

 

梶本「さて、決勝ですが。先行した浅井プロをあとの3人が追いかける展開で進みます。個人的に印象深かったのはこの局面です(全体牌図)」

近藤「チートイツの単騎選択の場面ですね。九筒待ちを選んでリーチをかけたら、皮肉なことに一発目のツモが九筒という。九萬も九筒いずれも魚谷プロの捨て牌のスジで、かつ場に1枚切れ。どっちもいい待ちなんです」

 

梶本「解説の坂本大志プロが対局後に『七筒が4枚見えだったので九筒単騎の方がちょっといいんだよなぁ』っておっしゃってましたが」

 

近藤「七萬は場に3枚見えだから、他家の手に七八九萬のシュンツがあるかもしれない。ゆえに九萬より九筒のほうがアガりやすい。僕もどっちかというと九筒単騎にしそうです」

 

梶本「でも魚谷プロはほぼノータイムで九萬待ちを選んでましたね。予め待ちを決めていたのでしょうか?」

 

近藤「魚谷さんは『石原さんが九萬がツモ切ったので、待ちにしたい気持ちが強くなった』って言っていました。石原さんはもちろん、三盃さんも浅井くんも七萬切りが早くて九萬をトイツで持っている可能性は低そうなので」

 

梶本「九筒のありかを探るのは少し難しそうですね。浅井プロ以外の2人がトイツにしていても不思議じゃない」

 

近藤「なのでこの単騎の優劣をつけるのは相当難しいんですよね」

 

梶本「魚谷プロは2015の最強戦ファイナルでもチートイツの単騎選択で悔しい思いをしていました。今回もまた忘れられない1局になりそうですね。他にも石原プロ・三盃プロの攻めもありましたが、最後は浅井プロが逃げ切って優勝。ファイナルの切符を手にしました。この優勝について、近藤さんはどういう感想をお持ちですか?」

 

近藤「浅井くんみたいに周囲から強いと認められていても、タイトル戦で結果が出なかったりリーグ戦を降級するとそこで麻雀プロを辞める人も多いんです。でも、好きな麻雀の世界で踏ん張って、やっと結果が出せたと実感していると思います。僕も昨年まで似た境遇でしたから。そういう意味で、浅井くんが勝ったのは正直嬉しいですね」

 

決勝卓、左から浅井、石原、魚谷、三盃
決勝卓、左から浅井、石原、魚谷、三盃
浅井の過去の苦労を知る坂本大志は解説終了後に涙
浅井の過去の苦労を知る坂本大志は解説終了後に涙
やっと結果を出せた浅井裕介
やっと結果を出せた浅井裕介

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近藤千雄現最強位
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梶本琢程オフィシャルレポーター
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