2017年10月14日(土)に、麻雀最強戦2017「全国アマチュア最強位決定戦」が行われ、中部最強位の影山恒太さんが優勝、ファイナル進出を決めた。最も激戦となる予選を勝ち抜いた16名よる死闘を、現最強位・近藤千雄とオフィシャルレポーター・梶本琢程がレポートする。

構え方の差が結果に出る
梶本「さて、今回はアマチュア最強位決定戦ということで。今回の勝者がファイナルのD卓で近藤最強位と対戦しますね」
近藤「はい。なので決勝は特に注目してました」
梶本「今回、トーナメントを勝ち抜いたのは、ほそみん(最強戦リーグ)、影山恒太(中部最強位)、中村大樹(九州最強位)、酒井永楽(北海道最強位)の4名でした。いずれも逆転、あるいは押し切りの強い勝ち方だったと思います。で、今回優勝した影山さんの決め手になったのは親のリーヅモチートイツドラ2。ドラの白単騎でリーチをかけて、ツモった局(東4局)にあったかと思ったのですが、実はその前の東3局のアガリが大きな後押しになったと思いました。その局について近藤最強位の見解を伺いたいと思います」
近藤「はい。カン七索でリーチをかけた局(全体牌図参照)ですよね」

梶本「678の三色も狙える形ですが、すんなり四筒をツモってカン七索のタンヤオドラ1テンパイ。影山さんは即リーチに出ました。これについてはいかがでしょう?」
近藤「解説の馬場さんは『ヤミテンかもな』と仰ってましたが、影山さんは手変わりを待たずにリーチをかけましたね。僕はこれは良い判断だと思います」
梶本「というのは?」
近藤「実際、この手格好からからはさほど良い手変わりはないし、打点効率的にもリーチがいいでしょう。ソーズの場況も良さそうですし」
梶本「たしかに。西家のほそみんさんはピンズまっしぐらで、親の酒井さんは食い仕掛けのメンツに七索がありますが、
それだけに手の中に七索はもうなさそう。ただ、実際は七八九萬と仕掛けた中村さんの手に七索がトイツであって山にはあと1枚でしたね」
近藤「まあそうなんですけど。ただ、『場況が良い』というのは即ちロン牌も出やすい、ということなんですよ」
梶本「そうなんですか?」
近藤「たとえばマンズが高い場だとして、そのときにかかったリーチにマンズが打ちづらいですよね。かつ、マンズが手に残る形に山から引いた牌がマンズなら更に出ない。でも、今回のカン七索は九索六索が場に3枚、五索も場に2枚で七索が副露牌に1枚。こういうときは七索が山にも残っていそうだし、仮に手に持たれていてもくっつきにくいじゃないですか」
梶本「なるほど。たしかにそれはいえますね」
近藤「影山さんのリーチの河も強かったですし、困ったら場に出ているソーズを切りたくなりますよね。七索が山ならツモりやすい、相手の手にあっても出やすい。ダブルの意味でこのカン七索はいい待ちです」
梶本「だからリーチが好判断だったわけですね。結果、中村さんの七索トイツ落としでアガリになりました」
近藤「それも想定内でしょう」

ドラ単騎リーチの決断理由
梶本「で、次局。親の影山さんはチートイツでドラの白単騎リーチ。これをツモって一気にトップ目に立ちました」
東4局 東家・影山

梶本「これは決断のリーチだと思いますが、自分だとたとえばドラの白待ちだとポロっとこぼれるのを期待してヤミテンしてしまいそうですが」
近藤「この局の場合は、ほそみんさんが仕掛けを入れていて、他の人が白を切りづらいんですよ。だからこそリーチがいいと思います」
梶本「ほお」
近藤「もちろんほそみんさんからの白ポロリはあると思いますが、他2人はなかなか切らない。ならリーチで6000オールを狙いたいですよ。仮に、場が平たいとか誰も動きがない状況なら手が整った打ち手からのポロリを狙う手もありますが」
梶本「なるほど。そこが決断の分かれ目だと」
近藤「今回の決勝は打ち手が優勝を意識し早めの仕掛けが多かった。それが影山さんに利した部分もありますね。たとえば東2局。この局は影山さんがまずトイトイ仕掛けでポンするのですが、それに南家の酒井さんが反応します」
東2局 南家・酒井

近藤「この中をポンしてテンパイを取りますね。で、この直後に親の中村さんも動く」
東2局 南家・中村




近藤「これも七萬ポンで2900のテンパイを入れるわけですが」
梶本「影山さんの仕掛けに合わせて動いたんですね」
近藤「そうなんですが、ちょっと手材料からしたらもったいないかな、と。頭取りの戦いなら、もう少し我慢して打点を狙う方がいいと思うんですよ。敗れた3者はいずれもこういう動きで損をし、じっくり構えた影山さんにチャンスを与えてしまったかなと思いましたね」
梶本「さて、今回の影山さんとは近藤さんも直接対決するわけですが」
近藤「まあ僕は誰が来ても基本的にはあまり打ち方は変わらないので。ただ、いよいよファイナルのメンバーも出そろって気分も高まってきましたね」


フォトギャラリー
レポーター


コメントをお書きください