アース製薬杯 男子プレミアトーナメント 決勝【観戦レポート】

2018年7月14日(日)に、麻雀最強戦2018 アース製薬杯 男子プレミアトーナメント 決勝が行われ、紺野真太郎が優勝、ファイナル進出を決めた。トーナメントを勝ち上がった4名による死闘を、オフィシャルレポーター・梶本琢程と最強戦実行委員長・金本晃がレポートする。

アース製薬大塚達也会長も賞賛
アース製薬大塚達也会長も賞賛

分岐点となった決勝南1局

金本「さて、男子のプレミアトーナメントもいよいよ大詰め。まず最終予選の『豪傑発見』を振り返ってみたいと思います」

 

梶本「こちらは浜上文吾・横山毅・杉浦勘介・伊藤聖一・井出洋介・堀慎吾・松ヶ瀬隆弥・松本吉弘の8名が出場。決勝では松ヶ瀬が浜上の追撃を振り切り優勝しました」

 

金本「この日の解説で、松ヶ瀬の所属するRMUの代表でもある多井隆晴プロが、松ヶ瀬は今、本当に強い。俺、全然勝てる気しないよ、って言ってましたね(笑)」

 

梶本「私は松ヶ瀬って守備的な堅い打ち手の印象を持ってましたが、今回は全く別人のようでした。で、実際に本人に雀風を変えたのか聞いてみると、かなり攻撃寄りにシフトしたそうですよ。守りの麻雀だけでは上の人に勝てないからと」

 

金本「それが上手くいって最近大活躍してますね。その松ヶ瀬を交え、HIRO柴田(新技激突優勝)・朝倉康心(天鳳ニューパワー優勝)・紺野真太郎(下剋上決戦優勝)で行われたトーナメント決勝戦にいきましょう」

 

梶本「東場は紺野が満貫を柴田からロン、その柴田が親番で絶妙なチートイツをツモって3200オールで復活。この2人がリードして南場に突入。南1局、16600点持ちで親を迎えた朝倉プロが会心の手順で親っパネをツモ(光る一打参照)。一気にトップにのし上がってきました」

 

金本「で、その次の1本場。ここがこの決勝のポイントだったと思います」

 

梶本「対局後の打ち上げでも金本委員長と朝倉で随分と議論した例の局面ですね」

紺野に戦う姿勢をみた

梶本「ま、せっかくなので読者の皆さんにも考えてもらいましょうか。全体図をご覧ください。前局の親ハネツモで朝倉プロがトップ。ここでもう1アガリを決めて突き放したい。が、ラス目の松ヶ瀬がマンズのホンイツ仕掛け。柴田はタンヤオイーペーコードラ3の5萬単騎待ち」

金本「このとき捨てた2枚目3萬を松ヶ瀬がポンして、ホンイツトイトイに待ち変え。牌図はその直後、柴田が9筒をツモったところですね」

 

梶本「まず柴田からみて6-9筒は非常に良い待ち。実際は紺野が9筒暗刻で薄いですが、マンズに意識が行っている分、ピンズで待ちたいはず」

 

金本「持ち点からしてもアガリたい手。だから柴田は5萬を捨ててもおかしくないでしょう」

 

梶本「ただ、やはり松ヶ瀬の仕掛けですよね。8萬を手出しの後、3萬ポンで打4萬。この形まで想像できます」

梶本「で、元々テンパているとしたら、33455萬から3萬ポンで5萬と何かのシャンポンに待ち変え。この時点で5萬は相当に危険。いくら柴田がアガりたくても、この5萬を捨てるのは自殺行為です。で、ここで6筒を捨てた柴田。これに朝倉プロがチーしてテンパイを取った。つまり打6萬で松ヶ瀬に満貫を放銃となります」

 

金本「朝倉プロはそこまで連荘が必要なの?6萬だって待ち変えを考えると危ないでしょ」

 

梶本「朝倉プロ曰く、3萬ポンはテンパイからの待ち変え。5萬は絶対に待ちに絡むとして、どちらも場に出ていない1萬か9萬のシャンポン待ちっぽい。6萬が当たると思わなかった、と」

 

金本「参考のために今回優勝した紺野プロにも聞いてみたら、たしかにあの6萬待ちは意外だったみたいです。9萬と何かのシャンポン、という朝倉プロと同じ読みをしてましたね。プロは9萬警戒なんですね。僕なんて端っこ!って言って切っちゃいますが」

 

梶本「プロの読みとしてはこの放銃はやむを得ないのでは? 6萬通りそうだし、自分もテンパイで連荘できる可能性が出たわけだし」

 

金本「天鳳位の朝倉プロが守りが下手なわけはない。今回も、待ちを読めない人は打たない。読める人でも大体は安全策で打たないと思う。でも、朝倉プロは打った。これは、ホンイツだからとその色を全部止めるのは格好悪いというか何も考えてなさ過ぎる、理で消去できる牌は通しますぜという、主張ですよね。でも一歩間違うと今回みたいにうまぶりたいアピールになっちゃう(笑)。3索1索の切り順のリーチに2索を通したくなるのと似た」

 

梶本「うまぶりたい? そうかなぁ『6萬通りやすいのにオリたら損だ』ぐらいでは?」

 

金本「そうかもしれませんが、僕はこの放銃が朝倉プロの敗因だと思うし、最強戦はそんなに甘くないぜ、と言いたい。とはいえ、そこを押すのも朝倉プロだから面白いんですが」

 

梶本「絵面だけみると『え、何で?』と思う人も多いでしょうからね」

 

金本「閉会式であの放銃はミスと思ってないと言い、打ち上げの席で僕にまっ先に話したのもその局面だった。それだけこだわりがあり、あれは敗因じゃないと主張する。そこまで言い切るのは大事だしいいことだと思いますよ。ただね、あれは敗着の一打ですね!」

 

梶本「ま、この放銃によって得点差がぐっと縮まりましたからね。最後は紺野・朝倉・柴田の三つ巴になって、誰が勝っても不思議じゃない。トップの紺野も何度もアガれそうなテンパイを入れるのですが、なかなか決めきれず。最後は腹を括って苦しい手牌から3フーロでようやく優勝を果たしました」

 

金本「次局に先延ばしせず、きっちり決めるのはさすが。オーラス3フーロで決めた局、守備を考えて鳴かない選択をする人はたくさんいますが、しっかりリスクを背負って戦ってくれた。だから見る方も安心して、戦いを見られる。自分が安全だけ追って優勝してもファンは増えないけど、この勝ち方で紺野真太郎ファンは倍増しましたね。ファイナルも、簡単に何もせず負けるとうことは無さそうな雰囲気を出してくれたので楽しみですね」

朝倉からホンイツを討ち取った松ヶ瀬隆弥プロ「朝倉プロなら逆に出すと思った」
朝倉からホンイツを討ち取った松ヶ瀬隆弥プロ「朝倉プロなら逆に出すと思った」
痛恨のホンイツ放銃をした朝倉康心プロ「うまぶったわけじゃないです!」
痛恨のホンイツ放銃をした朝倉康心プロ「うまぶったわけじゃないです!」
優勝した麻雀入道・紺野真太郎
優勝した麻雀入道・紺野真太郎

光る一打

決勝戦 南1局 5巡目 東家・朝倉康心 16600点

ソーズのイーペーコーもあるので、一旦3萬を捨てそうな形。だが、朝倉は打3索を選択。場に安いピンズとマンズの伸びに賭けた。この選択がズバリ的中。すぐ1索6筒を引いてリーチ。一発で4筒をツモってハネ満に仕上げたのだ。3萬を切っていたら次の1索ツモでカン6筒を嫌うことになっていたはず。場況を分析し山にいそうな牌の色を伸ばしていくのが得意な朝倉。まさに「寄せの名手」ならではの一打だ。

 

最終形

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レポーター

梶本琢程オフィシャルレポーター
梶本琢程オフィシャルレポーター