男子プロ代表決定戦 手役の極【観戦レポート】

2018年8月25日(土)に、麻雀最強戦2018 男子プロ代表決定戦 手役の極が行われ、瀬戸熊直樹が優勝、ファイナル進出を決めた。手役派プロ8名による死闘を、オフィシャルレポーター・梶本琢程と最強戦実行委員長・金本晃がレポートする。

8名参加の最強戦予選で、6回出場、うち4回優勝!
8名参加の最強戦予選で、6回出場、うち4回優勝!

浅井にはスター性がある!

梶本「今回は男子プロ代表決定戦の手役の極ということで、手役派の打ち手が出揃いました」

 

金本「非常に面白かったですね。役満は飛び出すし、決勝での瀬戸熊直樹・多井隆晴のライバル対決も実現したし。展開的にもスリリングで、満足感を得られた視聴者の方も多かったのではないかと思います」

 

梶本「浅井裕介の役満は驚きましたね。放銃したのは馬場裕一でした。対局前、馬場が『予選で負けたら飲み行こうか』って言ってて、でも東1局の親で点棒を稼いでそのまま逃げ切りムード濃厚だったじゃないですか。これは飲みはないな、って僕は画面を消して原稿仕事をしてたんですよ。そしたら次見たとき凄く点数が減っていて。何があったんだって」

 

金本「ハコ下の浅井に配牌国士イーシャンテンの手が入ったんです。で、7巡目に9萬待ちでテンパイ。その後で親の瀬戸熊のリーチがかかり、その捨て牌に9萬がある。直後に9萬を馬場が掴むのですが、南暗刻で好形イーシャンテンでしたしから止まるわけもなく。最強戦では今年初の役満出現となりました」

 

梶本「で、結局馬場が予選敗退し、すぐ飲みに行くことになったのですが、『(浅井の役満狙いの捨て牌は)断ラスの大物手狙いはよくあるけど、経験上アガれないしテンパイもほとんどしない。だから浅井が本当にテンパってるとは思わなかった。というか何で俺9萬掴むかなぁ。なんか悪いことした?』ってボヤいてましたね」

 

金本「私生活で悪いことしてたんじゃないですか(笑)?ま、色んな条件が重なったし、9萬を止めるのは実際無理だったと思います。ただ、アガった浅井も予選を勝ち抜けず、役満がらみの二人がともにつらい思いをするというオマケつきのA卓でした」

 

梶本「役満賞を受け取ったときの浅井の表情が何とも言えず面白かったですよ」

 

金本「家に帰って夜中の1時くらいにAbemaTVの麻雀チャンネルをつけてみたら、コメント欄『浅井が国士無双アガッて3着』の話題だらけ。みんなゲラゲラ笑ってましたね」

 

梶本「日本一切れやすい、とかキャッチがなければ見た目も普通だし特異な麻雀を打つわけでもない。でも毎回見せ場を作ってくれますね」

 

金本「去年予選で勝ったときもファイナルで負けたときも、実は毎回見せ場作ってますね。この人はスター性ありますよ。たぶんプロ内の評価は弱いでしょうが(笑)。ってことで浅井裕介プロにはあっぱれ!あげたい」

 

梶本「もちろん本人としては勝って見せ場を作りたかったでしょうけどね」

 

金本「対局後の打ち上げで周りから浅井が『爪痕残せてよかったね、来年も最強戦出られるよ』みたいなことを言われてて。本人もそれは嬉しそうでした。そこで僕が『見せ場の無い2着と今回みたいな見せ場作った3着どっちが良かったか?』ということを聞いたんです」

 

梶本「あ~、なるほど。麻雀プロとしては結果的にどちらがよかったか微妙ではありますね」

 

金本「そしたら浅井は、それは2着に決まってるじゃないですか、って。それを聞いて安心しました。選手はこれでいいと思うんですよ。特に若手は。で持ってる人が残ると」

またも決勝で瀬戸熊に敗れた多井隆晴。
またも決勝で瀬戸熊に敗れた多井隆晴。
オーラス逆転のリャンペーコーをテンパイした近藤誠一。
オーラス逆転のリャンペーコーをテンパイした近藤誠一。
役満をアガって3着の浅井裕介(左)と放銃した馬場裕一(右)。
役満をアガって3着の浅井裕介(左)と放銃した馬場裕一(右)。

やはりMリーガーは強かった!

金本「さて、決勝に進んだのが瀬戸熊・荒正義・近藤誠一・多井。Mリーガー3人とレジェンド雀士という組み合わせとなりました。ここで勝ったのが瀬戸熊。オーラス1本場、ラス親の多井が仕掛けを入れ、3着目・近藤がハネ満条件を満たすリャンペーコードラ2でリーチ。その両者に食いタンで2フーロの瀬戸熊も押し返し、最後は自力で優勝を果たしました」

 

梶本「瀬戸熊はこれで2011年からの最強戦で8回中回度6目のファイナルですね。とにかく代表決定戦での強さが際立ってますが、委員長はどう分析してますか?」

 

金本「まず気合。打つ前に誰ともしゃべらない。そして負けたときも絶対に運のせいにしてこなかった。負けたときの悔しい顔は最強戦のファイナルで何度も見てきました」

 

梶本「先輩と顔合わせたら挨拶しないわけにはいかないし、話しかけてくる人もいるじゃないですか。そんな中、自分が集中する時間はなかなか取れないので、より大変でしょうね」

 

金本「あと、心のコントロールが上手いと思いますよ。解説の勝又健志プロは『勝ちたい意識が強すぎると正着が打てなくなる』って言ってましたね。必ずしも必要の無い2000点のテンパイにこだわり過ぎたり」

 

梶本「勝ちが目前になると余計にその傾向は強くなりますね」

 

金本「瀬戸熊プロは勝ちたい気持ちが強いけど、それを抑えて正着を打てるのが強さだと思います。よく耳にする『振ってもいいからこの局は行こう』という発言。もちろんいい手で負けているときなら誰でもそうするでしょう。でも、トップ目で相手の親リーに対してはなかなかそうできない。今回も荒プロの親リーチに

この形から無筋の6筒、7索、3萬をしっかり押して、(一発目が3萬、7索はツモ切り)追いかけリーチしてアガり切りましたね」

 

梶本「半荘の終盤だと特にそうですよね。なんとか守って勝ちたくなるのが普通の人だと思います。でも、やはり勝負すべき手なら放銃を恐れずに押す。それを実行するために普段から口にしているのでしょう」

 

金本「瀬戸熊プロの発言に『卓上は戦国時代の戦場で自分は軍師。牌は兵士。軍師の自分は兵士を大事に、いかに気持ちよく戦いに参加させるかに集中する』というのがある。これは一見、単なる精神論、流れ論に見えますが、実際はそのおかげですごい技術的に正確な答えを導きやすい考えだと思いましたね」

 

梶本「なるほど。他に気になったところはありましたか?」

 

金本「近藤さんですね。まず予選のカン3リーチ」

 

南3局1本場8巡目 南家・近藤 3700点

梶本「持ち点が3700点でもラス親があるし、いったん打2索でリャンメンに受け満貫ツモを狙う人もいるでしょうね」

 

金本「場に6索が2枚切れだったことが後押ししたのでしょう。最後の245索からの5索切りは佐々木寿人プロと見まがうほど高速の手の動きでした(笑)」

 

梶本「結果、3索ツモでこの半荘の初アガリ。ここから近藤が復活して予選を突破し、決勝でもオーラスまでチャンスがありましたが、残念ながらあと一歩及ばずでした」

 

金本「今回の代表決定戦ではMリーガー強し!の印象を受けました。実は10月1日に『麻雀プロMリーグ選手名鑑』という本が出ます 今それを作ってる真っ最中なのですが、そこでさらに一人ひとりの強さを分析したいと思っていますので、ぜひご覧いただきたいと思います」

ファイナル行きを決めた瀬戸熊。
ファイナル行きを決めた瀬戸熊。

光る一打

予選A卓 東1局5巡目 東家・馬場裕一 32600点

トップ目で連荘中の馬場。この局もダブ東ポンから5800点のテンパイを果たす。が、ここでドラの7索を引いた馬場はすかさずカン6索の親満に受け変えた。この後、浅井のリーチを受けた馬場は8索は浅井の現物だが、馬場は当然といわんばかりに通っていない5索を捨ててリャンメンに受け変えた。それが功を奏し、ラス牌9索を浅井から直撃しダントツ態勢を築くことに成功。終局まで3索はツモることも出ることも無かったので馬場ならではのアガリであった。

 

最終形

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梶本琢程オフィシャルレポーター
梶本琢程オフィシャルレポーター