男子プロ代表決定戦 技術の極【観戦レポート】

2018年10月21日(日)に、麻雀最強戦2018 男子プロ代表決定戦 技術の極が行われ、勝又健志が優勝、ファイナル進出を決めた。ハイレベルな技術を持つ8名による死闘を、オフィシャルレポーター・梶本琢程と最強戦実行委員長・金本晃がレポートする。

麻雀IQ220 勝又健志 優勝
麻雀IQ220 勝又健志 優勝

勝又の読みが凄いわけ

金本「今回は男子プロの中でもハイレベルな技術を持った人たちが集まった戦いです」

 

梶本「いや、ホントに。いつも『プロが間違えた何切る』のネタは直前の最強戦予選から拾おうと思っているのですが、今回ほど厳しかった対局もありませんでしたよ」

 

金本「勝ったのは勝又健志。Mリーガー強いですね!東1局でメンピンイーペーコードラ3のハネ満を近藤千雄から、続く親でダブ東ホンイツの親満を角谷ヨウスケから出アガってあっという間に5万点を突破。結果的にはこのリードを維持して勝ち切りました」

 

梶本「スコアだけ見ると楽勝っぽく思えますが、実際には激しい攻防の応酬で見どころが満載でしたね。勝又の牙城を崩すべく全員が総力で挑み、それを勝又がある時は真っ向勝負、またある時は軽い手で交わす、という感じで。」

 

金本「勝又には読みの鋭さを感じましたね。手牌読みはもちろんですが、状況読みもさすがだなと思いました」

 

梶本「状況読みとは、たとえば『リーチも仕掛けもない序盤からリャンメンチーした人はドラが固まっている』みたいなやつですか?」

 

金本「はい。決勝の東2局、勝又が親満をアガった局ですが、その局は石橋伸洋が先に仕掛けていました。11巡目、親の勝又が捨てた4筒をリャンメンでチー。手牌がこんな形」

梶本「ツモなら9索でもアガれる『鳴き三暗刻』ってやつですね。ドラが9索だけに、食いタンのみだと高を括って白切ると痛い目に遭うという」

 

金本「この石橋の仕掛けの中身も勝又は読み切ってましたね。『東1局にハネ満をアガった自分(勝又)の親で、石橋が4筒チーでタンヤオのみで済ませるはずがない。ドラ9索絡みの白の後付けでしょう』って。そりゃ可能性を考えればそういうこともあるでしょうが、ズバリ言いきるところが凄い」

 

梶本「牌の組み合わせと点棒状況を組み合わせると、相手の仕掛けもかなり推理しやすいというお手本ですね。勝又はもともと理の部分がだったことに加え、10代の頃から麻雀プロとして得た経験則をミックスさせることで、鋭い読みを磨いてきたのでしょう」

 

金本「でも何でそんなに読めるのでしょうか?」

 

梶本「彼も人一倍努力してますからね。勝又はプロ連盟の新人研修の講師もしているそうですが、その準備で10時間近く牌譜を見てから講義に臨むそうですよ。『自分がちゃんと準備してからでないと、人に対して偉そうに物が言えないから』だと」

 

金本「新人プロと勝又では知識量も段違いでしょ? 予習なんか必要なさそうですけど」

 

梶本「ま、その準備自体も勝又にとってはトレーニングなのでしょう。かつ『オレはプロとしてそれだけ努力している。そんなオレに君たちは勝てる? 勝てるわけないでしょ』っていう自信にもなっているのだと思いますよ」

 

金本「石橋プロなども相当読むタイプなんでしょうが、それでも勝又の読みは1人抜けてるなという印象でした。経験値と努力と自信が支えている読みなんですね」

勝利確率を100%にするリーチ

金本「決勝の南2局。勝又の親。ここで西家の角谷のリーチに追っかけたのも凄かった。角谷はドラの1筒が雀頭のメンピンドラ2。これに対して勝又は追っかけリーチ」

 

南2局6巡目 東家・勝又 55500点

梶本「ああ、これね。僕は正直、追っかけは危ないなと思ってました。親を流してあと2局勝負でいいじゃないか。ハネ満とかに刺さったら、逆に優勝が危うくなるぞ、って」

 

金本「本人に聞くと『通常の局面ならリーチでしょ。ならここもリーチです』とのこと。この持ち点なら98%ぐらい勝てると思うけど、このリーチをアガって100%にするつもりだったそうです。解説の朝倉康心も、勝又が親なのでツモられても放銃してもあまり変わらないから圧倒的にリーチが有利だろう、と。たしかにそうだなと思いました」

 

梶本「でも、この時点で持ち点5万5千点ですよ。ハネ満ツモられたって、5万弱で残り2局を流して終わりでいいと思うのですが。アサピンとか勝又にリーチがいい、って言われて納得したとしても、いざ自分が同じ状況に置かれたらやっぱりオリてしまいそうですよ」

 

金本「分かります。でもトッププロはビビらないんだと再認識しましたよ。勝又は全体を通して前に出てたと思います。突っ込めるのは場が読めているからでしょう。勝手なイメージですが村上淳や多井隆晴だったらもうちょっと慎重になりそうだけど、勝又はガンガンとアガってた。盤石さが終始感じられましたよ」

勝又に完全に手牌を読まれていた石橋伸洋。
勝又に完全に手牌を読まれていた石橋伸洋。
2年前の最強位、近藤千雄ここで散る。
2年前の最強位、近藤千雄ここで散る。
入場でaikoのCDを持つも優勝はできなかった角谷ヨウスケ。
入場でaikoのCDを持つも優勝はできなかった角谷ヨウスケ。

体力も勝ち負けを左右する

金本「あと勝又は打つのも早いですね!」

 

梶本「あれだけ色々な情報を処理していたら手も止まりそうですけどね。たしかに打牌に澱みはほとんどなかったですね」

 

金本「本人曰く『長考というのは準備できてなかったということだから。するときは申し訳ない気持ち持たないと』と」

 

梶本「言葉の裏には、勝又は基本的に準備がしっかりしているから長考はほとんどない、という自信も窺えますね」

 

金本「麻雀はひとりがサクサク打つと、他の人も釣られて打牌が早くなる。逆もまた然りで、ひとりが毎巡長考すると他の人にも長考が移ると思うんです」

 

梶本「そうですね」

 

金本「今のMリーグでも、佐々木寿人、魚谷侑未、勝又が入っててサクサク打つムードを作ってるときはテンポがよく、見ていても快適ですね」

 

梶本「それを行うには勝又の言うように準備も意識も必要でしょうし、あと体力も鍵になりますよね。勝又も40歳前ですが、色々と下り坂になる時期。目は悪くなり反射神経も鈍り、記憶力も落ちる。その上で対局と解説でハードな日々を過ごしているじゃないですか」

 

金本「たしかに。ルールも毎回違うので大変そうですね」

 

梶本「昔、金子正輝が毎週のように対局があってコンディションを整えるのが大変だ、って言ってたのを何かの記事で見た記憶があるのですが、今のトッププロたちはそれ以上に体力的にキツいと思います」

 

金本「ですから、選手の皆さんには体調管理をしっかりしていただいた上で、来るべき12月のファイナルに臨んでほしいですね」

対局合間のまりちゅうコーナーでは天木じゅんが登場し見事勝利!
対局合間のまりちゅうコーナーでは天木じゅんが登場し見事勝利!

光る一打

予選B卓 南2局8巡目 北家・勝又健志 37000点

チャンタ風の捨て牌のラス目・小林がドラの9筒をポン。これに対し、トップ目の勝又はこの手からション牌の中を放った。

中放銃は最悪である。だが、小林の打牌の澱みから勝又は小林のノーテンを看破。ロンでなければ中は逆に切りたい。この中は手牌の毒だ。必要な時に外に出さないと、手牌を蝕んでしまう。小林がポンなら彼に主導権を握らせて局が進むので良し。鳴かれなければ自分が前に出られるのだ。結果は後者となり勝又は自力でピンフを決めたのである。

 

勝又最終形

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レポーター

梶本琢程オフィシャルレポーター
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