麻雀最強戦2018 ファイナル【観戦レポート】

2018年12月9日(日)に、麻雀最強戦2018 ファイナルが行われ、近藤誠一が優勝、「最高で最強」の称号を獲得した。平成最後の麻雀最強戦を締めくくる16名による死闘を、オフィシャルレポーター・梶本琢程と最強戦実行委員長・金本晃がレポートする。

近藤誠一 最強位に決定
近藤誠一 最強位に決定

最高で最強になった近藤

梶本「ついに2018年の優勝者が決まりましたね。ひとまず金本委員長、お疲れさまでした」

 

金本「ありがとうございます。ただ、また2月から2019年の代表決定戦が始まりますし、また色々と企画も考えなきゃですので、2018年の余韻に浸っている時間はありません」

 

梶本「企画といえば、今回のファイナルでは選手への応援メッセージがありましたね」

 

金本「はい。ですが、これは選手も忙しいし頼める人がいない選手もいるでしょうから、6~7人ぶん集まればというつもりでお願いしました。ところがまさか16人全員が集めてくれるとは」

 

梶本「選手の周りの方も、せっかくの大舞台ですからね。喜んで協力してくれますよ」

 

金本「おそらく選手も番組を盛り上げようてしてくれたのでしょう。選手の方、メッセージを下さった皆さま、本当にありがとうございました」

 

梶本「あの動画、せっかくなら対局の合間のCMで繰り返し流せばよかったのに」

 

金本「1回だともったいなかったですかね?ところで、近藤誠一プロは、独身なのに子供の応援メッセージでした。誰だろうと聞いたところ友人の子供だったとか」

 

梶本「近藤はちょっとお茶目なとこありますよね。ありきたりのメッセージだと面白くないから、皆見たくなるようにちょっと捻る。あの子が出た瞬間、近藤さんの子?ってザワつきましたよ」

 

金本「近藤は子供は好きらしいですよ。僕なんて独身時代、子供全然好きじゃなかったですが(笑)、近藤はそうじゃないみたいで。打ち上げの後、帰りのタクシーで酔っ払っている中でもしみじみ『55歳だけど結婚して子供を育てたい』って仰ってましたよ。ぜひ最強位獲得をきっかけにプライベートでも幸せになってほしいですね」

 

梶本「AbemaTVの『熱闘Mリーグ』でも言ってましたね」

 

金本「はい、しみじみ温泉で。ニック(29)からザンク(39)くらいの彼女募集と(笑)」

 

梶本「個人的には、近藤にはゆっくり休んでほしい。今年はMリーグが始まって例年以上に対局が多くなった上、選手急病によって延期された最高位決定戦。もともと、決定戦に出る予定のなかった近藤が急遽出場となりそこから最高位、そして最強位獲得。その間にもモンドの収録があったりして、とにかく出づっぱりの日々だったと思います。なんかここ数ヶ月、近藤と会う度に疲れた顔をしているので緊張の絶えない日々を過ごしてることは明らかで。Mリーグがひと段落つくまでは落ち着かないでしょうが、うまく充電期間を作ってほしいなと思いました」

一撃で決めた決勝戦

梶本「ではファイナルの対局を振り返っていきましょう。決勝に進んだのは初代最強位の片山まさゆき、敗者復活戦を勝ち上がってきた渡辺洋香、そしてアマチュア最強位決定戦で優勝しながらも何かと話題をふりまいた野間一列。そして近藤という顔ぶれになりました」

 

金本「この組み合わせも予想外でした。その決勝は東1局が全てだったんじゃないでしょうか」

 

梶本「野間さんの親リーチに追いついた近藤が一発でハネ満を討ち取り」

 

金本「たとえば最強戦のように1回勝負でトップにしか価値のないシステム」

 

『東1局に親からリーチ。自分はドラは2枚ありますがリャンシャンテン。手の中には安全牌も豊富。こんなときにどう打ちますか?』

 

金本「この問いに打ち手がどう答えを出すか、ということだったと思います。僕を含め、ほとんどの人は安牌を切ってオリると思うんです。ツモられても自分が脱落するよりはマシ、まだ勝負は始まったばかり、一発目から危険牌を切って勝負するのは損だと」

 

梶本「そうですね。勝負できる人だとしても、最強戦のファイナルの決勝卓だとどうしても勝負所を先延ばししがちですね。たとえば野間さんのようなアマチュアで、ここまで勝ち上がるのに大変な予選を勝ち続けた人であればあるほど、東1局から致命傷を負いたくない。そういう心理が働いて保留(オリ)する人がほとんどだと思います」

 

金本「理屈で考えても、その決断はあながち間違いじゃないですよ。で、実は近藤も昔はオリるタイプだったらしい」

 

梶本「親の野間さんのリーチの捨て牌がこう」

梶本「これに対し、近藤の手牌は」

金本「ドラがトイツになって白アンコのチャンス手。誰でも前に出たくなります。でも、その感情を押さえて冷静に打つのが理だと思うし、麻雀を勉強すればするほど、親のリーチにはドラトイツだろうが一発目から危険牌を連打するのは損だという風に覚える」

 

梶本「無駄ヅモがなくても最低3つは無スジを通さなきゃいけないですもんね」

 

金本「その間に何枚無筋引いてくるかも分からないし自分がテンパイするかも分からない。そういうもたげてくる『理』をもう一度抑えなおして感情の方に戻す。これは年を重ねるほど難しいことだと思います」

 

梶本「それはありますね。やはりその人が麻雀で色々経験してスキルを高めて今があるわけですから。そこを元に戻したりぶっ壊すのは、『したくない』という感情も含めて難しいでしょう」

【決勝1位】近藤誠一は東1局親のリーチにリャンシャンテンから押して危険牌4連打で追いつきアガリきった。
【決勝1位】近藤誠一は東1局親のリーチにリャンシャンテンから押して危険牌4連打で追いつきアガリきった。
【決勝2位】決勝東1局リーチをした野間一列全国アマチュア最強位。
【決勝2位】決勝東1局リーチをした野間一列全国アマチュア最強位。
【決勝3位】敗者復活戦から決勝まで勝ち上がり最後は唇をかみ締めて闘った渡辺洋香。
【決勝3位】敗者復活戦から決勝まで勝ち上がり最後は唇をかみ締めて闘った渡辺洋香。
平成元年初代最強位片山まさゆきは、平成最後の最強戦も決勝卓まで進んだ。
平成元年初代最強位片山まさゆきは、平成最後の最強戦も決勝卓まで進んだ。

理を捨ててから強くなった

金本「これを読んでいる雀歴3か月の方からみたら、オリる必要ないのではと思うかもしれない。でも1年、2年、さらに5年、10年と麻雀を勉強していくといろんな知識が身についてきて、手牌や気持ちに正直になれなくなる。でも、近藤はそれができた。近藤の麻雀歴はどれぐらいなんでしょう?」

 

梶本「40年ぐらいだそうですよ」

 

金本「それは長い。そして最高位戦の飯田正人プロが亡くなってから麻雀が大きく変わったそうですね」

 

梶本「そうですね。近藤は以前こう語ってました」

 

――飯田さんって感性の塊みたいな人じゃないですか。自分は理論と感性の両立を目指して、それでもなかなか上手くいかず。で、飯田さんが亡くなられたとき、ようやく理論をいったん封印する決心ができたんですよ。理論の部分を、極端に言ったら捨てるというか、そういう感覚で打つのは凄く怖い。でも、その決心がようやくついたんです。何と恐ろしいことに、その前と後で全く成績が違うようになりまして。

 

金本「そうでしたね。で、話を元に戻すと、野間さんの親リーに押し返し、4発目の4でリーチ」

金本「待ちの3-6筒は野間さんの現物ですが、ここまで攻めているのだからヤミテンのほうがアガリやすいとかは些末なことで」

 

梶本「で、結果、野間さんから一発でロン。裏ドラが1枚乗ってハネ満」

 

金本「野間さんの親リーに

と勝負した(6萬も無スジでツモ切り)近藤。

 

この捨て牌に並べた4枚こそ、近藤が飯田正人プロが亡くなった2012年からの6年間で培った『強さとは』の答えなんじゃないでしょうか

 

だから僕は決勝戦はこの1局が全てだと思うんです。

 

梶本「かつて最高位と最強位を獲得した飯田プロもきっと天国で祝福してると思います」

 

金本「『最高で最強』は初代が飯田正人、二代目が張敏賢、そして三代目が近藤誠一となりましたね。ところで優勝した近藤なんですが、閉会式でちょっと興味深い一言がありました」

 

梶本「ほう。何でしょう?」

 

金本「『1500点は趣味じゃない』っていう言葉。これがまた格好良かった。ただ、どういう意味なのだろう、と」

 

梶本「それ、実は本人もボカしたかったようなのですが、こっそり教えてくれました」

 

――通常なら親で連荘して稼ぎたい。アベレージ(平均順位)が欲しい時は、連荘した方がいいです。しかし、皆がトップだけを狙うときは、点数状況として高い手を作りに行くことが多い。それを、ツモられたり、ましてや振り込んでしまっては大変です。 満貫級での連荘なら価値がありますが、1500点の連荘は、相手のチャンスを増やすことにもなりかねない。 自分がある程度リードしたら、相手の親はなるべく早く終わらせたいですよね? それがたとえ自分の親でも、満貫級ができないなら、逆になるべく無風で終わらせてしまいたい、ということです。

 

梶本「これらの説明を割愛して、一言にした結果、『1500は趣味じゃない』という言葉になりました」

 

金本「渋いですね~。僕も使ってみたいです」

 

梶本「他の打ち手たちの印象についてはいかがでした?」

 

金本「金太賢・前最強位が良かったですね。D卓の東1局では力強い麻雀を見せてくれたと思います」

金本「内川幸太郎の親リーチを受けながらも、山に2枚いる2萬で追いかけリーチでいきなりの大勝負。最強位らしい大物ぶりを見せてくれました」

 

梶本「勝又健志の仕掛けも入って東1局から熱い勝負でしたね」

 

金本「でもこの卓はアマチュアの野間さんがそれ以上に充実した麻雀でした。南場にトップ目に立ってから、①内川の親を鳴いて流し、②勝又の親をリーチで、勝又とめくりあいで討ち取り流し、③金の親をリーチでアガるという、南場でトッププロの親を自力で全部流すという、離れ業」

 

梶本「アマチュアであのゲーム回しは見事の一言に尽きますね」

 

金本「このファイナルでは緊張をプラスに変えましたね。年を追うごとにアマチュアのレベルがどんどん上がってきてる。ですから、来年一番楽しみにしているのはアマチュア最強戦。どんな方と会えるのか楽しみです」

 

梶本「2019年の麻雀最強戦も楽しみですね」

 

金本「はい。改めて近藤誠一プロおめでとうございます。今日本で一番麻雀が強いのは近藤誠一です!」

初代「最高で最強」の飯田正人。1995年最強位に。
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二代目「最高で最強」の張敏賢。2008年最強位に。
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アカギ作者福本伸行、奮闘するもプロの前に敗れる。
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「一年間大切にしてきた人を無くした気分」予選で野間さんに敗れた金太賢2017最強位。
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麻雀IQ220の勝又健志よもやの予選敗退。
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ファイナル6度目の出場もまたも予選敗退した瀬戸熊直樹。
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1年間アシスタントを務めたまりちゅう(長澤茉里奈)に最後は編集長から花束が贈られた。
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笑顔と涙の閉会式。後列左から多井隆晴、馬場裕一、後藤明信、渡辺洋香、片山まさゆき、野間一列、梅中悠介、魚谷侑未、梶本琢程、前列左から藤田晋、小山剛志、近藤誠一、長澤茉里奈、大塚達也。
笑顔と涙の閉会式。後列左から多井隆晴、馬場裕一、後藤明信、渡辺洋香、片山まさゆき、野間一列、梅中悠介、魚谷侑未、梶本琢程、前列左から藤田晋、小山剛志、近藤誠一、長澤茉里奈、大塚達也。

麻雀最強戦2019は2月23日から全編AbemaTVで生放送!乞うご期待!

プロの名手

予選C卓 東1局1巡目 北家・近藤誠一 25000点

東1局でこの配牌。この形ならトイツの中を頼りに無難に打9萬とする打ち手が多そうである。だが、どうせ遅いなら大きく狙う。そう考えた近藤は第一打に5索を選ぶ。チートイツやチャンタ、ツモ次第では小三元・ホンイツにも行ける。すると2巡目以降、ヤオチュー牌を次々と引き寄せ6巡目に国士の1索待ちでテンパイ。紺野から役満を討ち取ったのだ。悪配牌から大物手だけに的を絞ったことが見事にハマった好例といえよう。最強戦はサイバーエージェントより役満賞10万円、さらに各卓トップ者にアース製薬大塚会長よりトップ賞10万円が贈呈される。


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梶本琢程オフィシャルレポーター
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