女流プレミアトーナメント 決勝【観戦レポート】

2019年4月20日(土)に、麻雀最強戦2019 女流プレミアトーナメント 決勝が行われ、水口美香が優勝、ファイナル進出を決めた。トーナメントを勝ち上がった4名による死闘を、現最強位・近藤誠一とオフィシャルレポーター・梶本琢程がレポートする。

水口美香優勝!2年ぶりファイナルに進出
水口美香優勝!2年ぶりファイナルに進出

豊後、針の穴を通すアガリ!

梶本「さて、今回は4回行われた女流プレミアトーナメントの決勝戦です。水口美香・高橋侑希・茅森早香・豊後葵の4名が勝ち進みました」

 

近藤「先輩の茅森が力をつけてきた後輩の挑戦を受けて立つ、という構図ですか」

 

梶本「では、対局を振り返りましょう。東1局はまず水口が東ポンでピンズのホンイツへ向かいます。それに対し、上家の豊後の手はチャンタ狙い。

8筒ツモでリャンメンができますが9筒がフリテン。水口を無視してピンズを払うか、それとも別のターツを捨てるか悩みどころでした」

 

近藤「守備的に行くならペン7萬受けを嫌いますか。7萬が場に1枚切れですし」

 

梶本「実際豊後も打8萬としましたね。ただ、その後の豊後のツモが4筒8筒とさらにピンズ寄りで。イーシャンテンで4筒を切らざるを得なくなる。このときの水口の手が」

梶本「というところから4筒をチー。高目の中で満貫の構えを取りました」

 

近藤「この鳴き方は明らかに打点期待ですね。最近、水口は打点を上げることを意識しているようで。ちょっと話が飛びますが、東3局では」

近藤「この手で8索をポンしてタンヤオドラ1の2900のテンパイに取りました。4-7筒が場に薄くなったので、打点よりアガリをみて動く、これが本来の水口のスタイルなのでしょう。ですが、対局後に本人から『8索ポンで打点を下げるべきではなかったかもしれません』と精査し、私も考えを聞かれました」

 

梶本「なるほど、以前より打点意識を持って試行錯誤している、と。では、東1局に話を戻すと、水口のホンイツテンパイの後、親の高橋がドラの1索雀頭の2-5萬待ちでリーチ。これに対し、豊後はイーシャンテンとはいえフリテン含み。親の危険牌を引けば即ギブアップの状況でしたが、すぐに9筒を引き戻してテンパイを入れました」

梶本「高目がドラでチャンタのつく1-4索待ち。これなら文句なしと追っかけリーチに出た豊後が、高橋から一発で1索を討ち取ってハネ満。豊後自身が『これはヤバいぐらい震えるアガリ』と語るほど、気分も高揚する一撃でした」

 

近藤「これは針の穴を通した感じ。決勝戦ならではの選択かも知れませんね」

豊後の勝負手を水口が潰す

梶本「その次の東2局、親の豊後が配牌でダブ東とドラの9筒がともにトイツという好配牌」

 

近藤「2巡目に親満のイーシャンテンになってましたね」

 

梶本「こういうときってダブ東がなかなか鳴けなくてやきもきしそうですが、7巡目にドラの9筒を暗刻にしてすんなりテンパイ」

 

東2局 東家 豊後葵

梶本「これは誰も抵抗できない『勝った!』って感じのリーチですよね」

 

近藤「ところが水口が豊後の一人旅を許さなかった。イーペーコー確定のカン7萬で追っかけ。終盤でツモって豊後の勝負手を潰しました」

 

梶本「これ豊後は痛かったでしょうね。自分のドラ暗刻の親リーにカンチャン待ちで追っかけられて引き負ける。水口も肝が据わってますね」

 

近藤「これが序盤の山場でしたがもしかしたら水口の勝因はこの局だったかもしれません。追っかけリーチに踏み切った水口の思考としては『ある程度の危険を冒してでも、打点を上げられるところは上げていく』。このところ水口が一貫して進んでいる道の様に思います」

2位豊後葵「最後の場面、今は選択に悔いはないです」
2位豊後葵「最後の場面、今は選択に悔いはないです」
3位茅森早香「豊後さんに3索で一通ドラ3を打った局が反省です」
3位茅森早香「豊後さんに3索で一通ドラ3を打った局が反省です」
4位高橋侑希「東1局の放銃でぐらっときちゃいました」
4位高橋侑希「東1局の放銃でぐらっときちゃいました」

激戦のオーラスを水口が制す

梶本「ラス前まで豊後が先行、それを水口・高橋が追いかける。1人蚊帳の外の茅森はきつかったでしょうね」

 

近藤「上手く打っていたとは思いますが、戦える形になってから他家のロン牌を掴みまくってましたからねぇ」

 

梶本「ただ南3局、ハコテンからの逆襲が凄かった。南3局にリーチ一発ツモドラ1の満貫をアガってオーラスへ。トップの豊後に対し、高橋と水口は満貫直撃か倍満ツモ条件でした」

 

近藤「茅森にとってもこの点差でラス親を迎えたのが良かった。高橋と水口が楽にアガれないから、豊後の足止めさえすれば連荘しやすいので」

 

梶本「ただ、オーラスで先にテンパイを入れたのは豊後」

梶本「西が役牌だから、一応ヤミテンが利くので豊後はリーチをかけず。でも、外野の私はリーチじゃないかと思ったのですが。このあたりどうなんでしょう?」

 

近藤「う~ん、豊後は下家の水口を意識したようで。水口の捨て牌が8索8筒6索8筒だったので、国士の可能性も考えた。さらに自分がリーチ棒を出すと、高橋・水口ともに条件が軽くなる(ハネツモOK)。だからヤミテンだったそうですが、リーチをかけていたら優勝できたかもしれませんね」

 

梶本「結果、茅森からの親リーがかかり豊後はオリ。連荘を許すことになりました」

 

近藤「相手が茅森1人だけなら押せたかもしれない。ですが、ここで茅森に放銃すると、高橋・水口の2人が一気に楽になる。豊後にとって『開き直りにくい点差』だったのが災いしましたね」

 

梶本「この後、茅森が一気に盛り返し、3本場ではテンパイした豊後から直撃を取って遂に逆転でトップ目に。これで一気に点差が詰まって、4本場は全員に優勝の芽があるという状況。その4巡目、満貫ツモ条件(出アガリならハネマン必要)の水口に待望のテンパイが入りました」

梶本「ここまで高橋とともに豊後・茅森の攻撃にずっと耐えていた水口にようやくチャンスが巡ってきた」

 

近藤「実はこのリーチを受けて一番難しいのはトップ目の茅森(2着豊後と2800点差)でしょう」

 

梶本「水口が満貫手なら豊後・高橋の打牌は見逃されるのに、茅森はロンされる。ただでさえ押しにくいのに、流局時に豊後とのテンパイ料で再逆転されてしまうという…」

 

近藤「行くも地獄、引くも地獄。じゃあ今居るところが極楽だ、ってね」

 

梶本「上手いこと言いますね(笑)。ま、でも実際その通りで。そんな状況で、比較的押しやすい豊後もテンパイ」

近藤「1巡前に茅森がション牌の発を通し、発はまさに待ち頃ですね」

 

梶本「ですが、豊後は安全な発を切って2筒待ちにしましたね。すると、直後に茅森が発をツモ切り。2筒さえ通していれば、ここでケリがついていた」

 

近藤「発が待ちとして相当良いのと、水口がマンガンしかないなら見逃さざるをえない状況だったので、2筒は勝負した方が良かったですね。もちろんこれでハネマンの放銃だったり、2筒の方が先にアガれるケースもあるけど、アガリまで長引けば長引くほど、勝負する牌はどんどん増える。なら先に1牌勝負してアガり易さを選ぶという考え方ですね」

 

梶本「豊後もそのように話してました。『腹を括れなかったことが悔しい』と」

 

近藤「最終的に水口が4筒をツモりましたが、勝負は本当に紙一重だったと思います(実際2筒は山に3枚いた)。ただ、水口は本当に麻雀に貪欲な感じがして、結構色んなところで勝っているのに決して浮かれない。こういうタイプは怖いです」

 

梶本「2年前のプレミアトーナメントでも優勝してますし、今年も勝ってまだファイナルまで時間がありますからね。さらに進化して臨んでくるでしょう。そこも見どころですね」

フォトギャラリー

レポーター

近藤誠一現最強位
近藤誠一現最強位
梶本琢程オフィシャルレポーター
梶本琢程オフィシャルレポーター