サイバーエージェント杯 女流プロ代表決定戦【観戦レポート】

2019年7月21日(日)に、麻雀最強戦2019 サイバーエージェント杯 女流プロ代表決定戦が行われ、逢川恵夢が優勝、ファイナル進出を決めた。女流タイトルホルダー8名による死闘を、現最強位・近藤誠一とオフィシャルレポーター・梶本琢程がレポートする。

水口に続き女子は協会独占 逢川恵夢優勝!
水口に続き女子は協会独占 逢川恵夢優勝!

逢川、勇気ある決断で断トツに!

梶本「今回は、女流プロの現・タイトルホルダーが一堂に会する『サイバーエージェント杯女流プロ代表決定戦』について近藤誠一最強位にお話を伺ってまいります」

 

近藤「お願いします」

 

梶本「参加選手は西嶋千春(女流最高位)・逢川恵夢(女流雀王)・仲田加南(女流桜花)・日向藍子(プロクイーン)・渡辺洋香(前年度ファイナリスト)・愛内よしえ(前年度ファイナリスト)・魚谷侑未(王位)・和久津晶(Aリーガー)の8名。ここから和久津・仲田・渡辺・逢川が決勝に進みます」

 

近藤「決勝はスタートダッシュを決めた逢川がそのまま逃げ切りましたね」

 

梶本「東場のアガリが色々興味深かったので、まずはそのあたりについて近藤さんの感想をお聞かせください。まず、東2局のこの手」

 

東2局1本場6巡目 西家・逢川 26500点

梶本「打2筒ならピンフ、5筒なら234の三色の形。場には3筒が1枚出ているのでピンフでリーチかと思いきや、逢川はカンチャン待ちの三色を選択しました」

 

近藤「この場面は、かわし手ではなく本手が欲しいので、いい選択だと思います。私も同じ選択をします。最強戦予選で、同様の選択をしたことがあります」

 

梶本「なるほど。かわす場合はピンフにするが、打点が欲しいなら三色にとる。どちらにしてもリーチですか」

 

近藤「いや、2筒切るならリーチをかけません。かわし手は相手の攻めをかわしてアガるのが目的なので、ヤミテンで出を待ちます」

 

梶本「ほう、そうですか。自分なら少しでもリードを広げたいからピンフにして一発裏ドラを期待してかけちゃいそうです。3筒が場に1枚出ているからなおさら」

 

近藤「解説の片山まさゆきさんもそう仰ってましたね」

 

梶本「結果は、逢川が一発で3筒をツモって満貫に仕上げました」

 

近藤「続く東3局(全体図参照)も面白い一局でしたね」

 

梶本「南家の逢川の手にドラ9索がトイツ。ここで何を切るかですが、逢川はリャンメンターツの5索を捨てたんですよね。たしかに4-7索は場に6枚飛びで薄いのですが、ここを払うのは決断力を要したと思いましたが」

 

近藤「仲田が国士やってますからね。19字牌も不安ですからね。あと4-7索が薄いとはいえ、その分待ち頃感もなくはない」

 

梶本「この後、逢川は南を引いてツモり三暗刻のテンパイ。ま、仲田の国士で1枚ずつ使われてるとして、残りの2枚の出に賭けてヤミテン。すぐに和久津からリーチがかかるのですが、直後に1をツモってハネ満。トップ目からさらにリードを広げるアガリになりました」

 

近藤「この局は本当に勇気ある選択だったと思います」

 

 

梶本「和久津・仲田・渡辺に比べたら逢川の知名度はそこまで高くないと思いますが、この局あたりから『番狂わせあるか?』みたいな雰囲気がしましたね。このメンバーですとあとの3人が勝つだろうと思っていた人も多かったようですから」

優勝目前でこそ気を引き締める

梶本「東場で、しかも自分の親が来る前に断トツになった逢川ですが、続く親でこんな仕掛けを入れます」

 

東4局2巡目 東家・逢川 47800点

梶本「親で2巡目に中が出てポン。高目ドラの2-5筒待ちのテンパイを入れます。これ見た瞬間、『この手で安目2900はもったいないかな~』と思いました。けど、よくよく考えたら、これ相手からすれば何とか挽回したいときにサラっと蹴られたら、それはそれで精神的にもキツいな、って。それを加味すれば、この仕掛けもありなのかなと。近藤さんはこの中ポン、どうみました?」

 

近藤「うん、これはドラでアガれればいいけど、守備力は下がり、かわす(または連荘)にも待ちが良くない。危ういポンだったと思います。むしろ中を安全牌として確保しながら、タンピンを目指した方がいいと思いました」

 

梶本「なるほど」

 

近藤「とはいえね。リードした逢川の中ポンですから。それ自体は他家には脅威にうつるはず。結果は3人テンパイの流局で終わりましたが圧力はかけられたとは思います」

 

梶本「その後、逢川との点差がなかなか詰まらないまま南2局。親のない和久津が16巡目にリーチ。それに対して東家の仲田が追っかけ。するとその2人に1牌もツモらせずに逢川がアガってしまう」

 

南2局16巡目 西家・逢川 47700点

近藤「相手からすればそこ(ドラ表示牌)もツモれちゃうの? っていうぐらい点数以上のダメージを与えるアガリでしたね」梶本「このアガリで優勝を決定づけたわけですが」

 

近藤「他者のチャンスを潰した上に、さらにリードを拡げることができたのだから当然嬉しい。ただ、これで本人が優勝しそうだと思ったら、逆に危ういですけどね」

 

梶本「今回の逢川のように間が良いというか運が味方をしているような感じになることがありますが、近藤さん自身もこういうアガリをして優勝したご経験もあるんじゃないですか?」

 

近藤「そうですね。過去、いくつかありますよ。でも、まだ終わりじゃないので、精いっぱい気持ちを押し殺して最後まで打ち切ります」

 

梶本「ほぼ目の前に優勝がちらついているときだけに、そうやって気持ちを抑えるのが逆に大変そうですね」

1人をマークするのは損

梶本「対局はこのまま逢川が逃げ切るわけですが、僕が気になったことで気になったことがいくつかあって」

 

近藤「はい」

 

梶本「まず和久津。東1局の親で2索チー」

 

東1局6巡目 東家・和久津

梶本「これで一色手に向かうのですが、結果は相手に警戒されて、自身もノーテンで親が流れます。見ている限りですが、最近の和久津は『相手に対応させよう』とすることを強く意識しているのではないかなという印象があります。遠めの一色手仕掛けや、時にはブラフ気味の仕掛けを入れて、相手に主導権を取らせないようにする構えをよく見ますし、実際に相手がそれにハマっていることも多い。ただ、この局に関してはそれが裏目だったかな、と」

 

近藤「対応させて主導権を握ることは大切です。ドラが7筒のところ、5,8筒と捨てたのは自然だったと思いますが、2索チーはもう少し待つ手もありましたね。上家に手が入っていれば、鳴ける牌も出てテンパイできたかもしれませんが、上家の捨て牌はおとなしく、そこまで手になってないかもしれない。そこに親が圧をかけたら逆に鳴けなくなる。6,7萬を早く処理したかったのかも知れませんが、ここは様子を見ながらメンゼンで仕上げる道もありましたね」

 

梶本「なるほど。あと、和久津と仲田。2人は対戦回数も多く、お互いの強さもよく知っている。それを意識したことがマイナスに作用した可能性もあるなと思いましたが」

 

近藤「相手が1人の競技ならいいのですが、麻雀は相手が3人いますからね。誰か1人を強く意識すると、他2人への意識が薄くなります。トータルでは戦力ダウンですね。もし、本当に和久津・仲田がお互いをマークした麻雀を打ったとしたら、それは損だと思います」

 

梶本「近藤さんも対局するときに気になる人はいるとは思うのですが、同卓したときはどういう風に考えて打つのですか?」

 

近藤「私は気になる人がいる場合、その意識を極力打ち消す努力をしています」

 

梶本「今回の近藤さんのお話を伺っていると、タイトル戦で勝つには気持ちの部分が非常に重要だということがよく分かりますね。ありがとうございました」

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近藤誠一現最強位
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梶本琢程オフィシャルレポーター
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