全日本プロ代表決定戦【観戦レポート】

2019年9月15日(日)に、麻雀最強戦2019 全日本プロ代表決定戦が行われ、仲林圭が優勝、ファイナル進出を決めた。300名が参加したプロ予選のうち激戦を勝ち抜いた8名による死闘を、現最強位・近藤誠一とオフィシャルレポーター・梶本琢程がレポートする。

龍を継ぐ者 仲林圭 優勝 ツモ力も技も プロでナンバー1!
龍を継ぐ者 仲林圭 優勝 ツモ力も技も プロでナンバー1!

平常心で打つことの大切さ

梶本「さて、今回は全日本プロ代表決定戦です。300名が参加したプロ予選のうち激戦を勝ち抜いた8名の戦い。A卓に稲毛千佳子・鈴木誠・箭内健次郎・古本和宏、B卓に中出雄介・太田昌樹・仲林圭・持留敏夫が勝ち上がってきました。中出は2年連続、稲毛は5年ぶり、古本も4年ぶり二度目の代表決定戦進出でした」

 

近藤「麻雀プロとしてはここでぜひ結果を出して、次に繋げたいところですね」

 

梶本「この8人の中では、仲林が実績上位で(日本プロ麻雀協会のAリーグで昨年は雀王決定戦に進出、第10期雀竜位など)、他の7名に比べたら格上となりますか」

 

近藤「ただ、一発勝負だと序盤の出遅れとか1回のミスが致命傷になりますからね。仲林本人も自信はあっても油断はなかったと思いますよ」

 

梶本「逆に、1年目の箭内は緊張で硬くなってミスが出た感じでしたね。東1局、西家・稲毛の先制リーチを受けて東家・箭内も追いついた」

 

東1局 東家・箭内 25000点

梶本「5索が稲毛の現物ですが、普通は追っかけリーチ。だが、少し考えて箭内は6筒をツモ切り。これには観戦者もざわつきました。場に5索が2枚、自分の手に1枚あって5-8索待ちに自信がなかったから、とか1-4-7索を重ねるとかして5-8筒待ちでリーチしたかったのか? とか」

 

近藤「対局後、本人は『完全に形を誤認してました』って言ってましたね。あー、そんなこともあるんだな、って」

 

梶本「スタジオで生配信して、それの東1局ですから。平常心で打てないこともあるのでしょう。あと、予選B卓の中出にも微妙な1局でした」

 

予選B卓 東3局1本場 東家・中出 26700点

梶本「678の三色の狙えるイーシャンテンが、先にソーズが埋まって単騎のテンパイになってしまった」

 

近藤「ま、このままテンパイ取る手もあるし、三色にしたければ崩してもいいですね」

 

梶本「中出は打7筒で仮テンを取りました。その後、5索を引いて2-5-8索に変化。ただ、ドラ表示牌のスジ待ちだしソーズが高くてリーチを躊躇った」

 

近藤「映像を見るとたしかに5索はゼロで2索8索も薄い。結果、仲林から8索ロンで3900のアガリでしたが、点数的にはやや不満ですね」

 

梶本「そのあたり、中出本人はこう語ってました」

 

中出「この局はともかくうっかりが目立った一局でした。5巡目にマンズが6678の形になったところで、普段なら678の三色の親倍までみて6萬を切るのに、6萬をトイツに決める8萬を捨ててしまった。その直後に8萬を引き戻して今度は6萬を切るなどフラフラしてました。その動揺もあって、3索ツモのところでピンズの仮テンを取ってしまい、最終的に自信のないソーズのテンパイを取ってしまいました」

 

梶本「中出がいうには5-8筒には絶対の自信があったので3索はツモ切りしてテンパイを崩すべきでした、とのことで。理想とは程遠いこともあり、ここはダマでもアガっていったんトップ目に立とうと思ったそうです」

 

近藤「ダマで安くなるのは本人は一応納得済みでしたか。途中過程がダメだったから構えを変えたということで」

 

梶本「そのようです。彼も序盤で冷静さを欠いてミスが出た。何度も言うようですが、平常心で打つのはホント難しいですね」

連荘阻止のためにリスクを負う?

梶本「では決勝の話に移りましょう。決勝に進んだのは鈴木・古本・太田・仲林の4名です。スコアから振り返ると、東4局に仲林が連荘。一気にリードを広げて、それが決め手になりました」

 

近藤「2000オールのアガリや粘ってテンパイ連荘を重ねて、4本場で2索と東のシャンポンでテンパイでリーチ。鈴木がテンパイでダブ東で放銃して大きなリードを築く。これでかなり有利になったと思います」

 

東4局4本場 東家・仲林 40600点

梶本「僕が気になったのはその前局。3本場での太田の選択です」(全体図参照)

梶本「親の仲林がダブ東を含む2フーロ。仲林が白を切ったところです」

 

近藤「太田は白をポンして5索を切ればテンパイでしたが、見送りましたね」

 

梶本「そう。その後、白をトイツ落とししながら、残した5索に3索をくっつけてメンタンビンドラ1の4-7索待ちでリーチ」

 

東4局3本場 北家・太田 17800点

梶本「結果、親の仲林と太田の2人テンパイで流局しました。この太田の判断は鋭くて、途中まで仲林のイーシャンテンがこの形」

 

東4局3本場 東家・仲林 39100点

梶本「で、15巡目に8索を引いて打南でテンパイ。これはつまり入り目が5-8筒なら同じ捨て牌で5索がロンになる可能性もあった。そういう意味では太田の判断はある意味正しい」

 

近藤「何か含みのある言い回しですね」

 

梶本「はい。というのは、ここで危険を承知で白をポンしていたら、仲林の連荘もここで止められていたかもしれない、と思いまして。仮に近藤さんならこういう局面で何を考え、どう対処します?」

 

近藤「結果的に仲林が連荘し、その後のアガリが優勝につながったのは確かだとは思います。とはいえ、この見送りが敗因とは言い難い。3段目なので、ポンテンもありますが、5索がかなり切り辛いですね。仲林にドラが何枚あるかもわからず、致命傷になりかねない…。メンタンピンドラ1テンパイのための打5索なら打点も見合うので、勝負する価値が大きいですが、『連荘阻止のため』だけに5索は勝負したくない。私ならそういうバランスで打つと思います」

追う立場が見せた工夫

梶本「東ラスの連荘後、苦しい戦いを余儀なくされた他家ですが、勝つために色々工夫をしてました。南2局1本場、トップとの点差が38000点差あるところ。南家・太田が2フーロしてカン7筒のホンイツテンパイ」

 

南2局1本場 南家・太田 15300点持ち

梶本「で、16巡目に7筒をツモったが、アガらずに南のトイツ落とし。この決断についてはどう思いましたか?」

 

近藤「アガる選択もありますが、とても落ち着いていて、いい選択だったと思います。仕掛け始めから、こういう状況も視野に入れていたのでしょうね。残り巡目が少ないとはいえ、高打点のチャンスもありましたから。結果としても、1人テンパイだったので、アガった場合とあまり差がありませんでし」

 

梶本「なるほど。最後にファイナル進出を決めた仲林ですが、攻守のメリハリが利いていたのが印象的でした。近藤さんはどういう感想を持たれましたか」

 

近藤「繊細な打ち回しと言うかか、様々な状況に対するさじ加減が秀逸だなと。たとえば連荘の前半では、8萬をツモ切って先切りとし、絞りも意識していた上家の太田から、あっさり9萬をチー出来ました。また、リードを広げてからは少しだけ守備寄りに構えた。この少しのさじ加減がとても大切で、守りすぎると逆に危うい場面に繋がりかねませんから」

 

梶本「ファイナルで当たったとしても強敵の1人になりそうですね」

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近藤誠一現最強位
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梶本琢程オフィシャルレポーター
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