2019年10月20日(日)に、麻雀最強戦2019 著名人代表決定戦 熱が行われ、鈴木大介が優勝、ファイナル進出を決めた。麻雀が大好きな有名人8名による死闘を、現最強位・近藤誠一とオフィシャルレポーター・梶本琢程がレポートする。

麻雀の神様はいたずら好き
梶本「今回は著名人代表決定戦の第二弾『熱』です。最強戦初となる歌手の瀬川瑛子さん・漫画家の森川ジョージさん・アナウンサーでMリーグの優勝インタビューでおなじみ松本圭世さんが出場。近藤最強位は誰に注目されてました?」
近藤「何と言っても瀬川瑛子さんですね。オクタゴンに通ったり。最強戦関係の方と練習したり、準備万端で臨まれました。朗かで優しいイメージでしたが、実際には気合いの入った菩薩様かなと思いました」
梶本「私は森川さんですね。麻雀番組もかなりご覧になってプロ雀士の方の知識もかなり深くて驚きました。喫煙所で会うたび、楽しくて色々なお話をさせていただきました。今回は出場をきっかけに麻雀熱がさらに高まったようで。それも嬉しいことですね」
近藤「今回は予選から面白い局面が多かったですね」
梶本「はい、A卓はトップの水崎綾女さん以外の三人での2位争い。まず、2着目の森川さんは8巡目にイーペーコーのペン3筒待ちで逃げ切りを図る。ですが、3巡後に1筒を引いて選択を迫られます」
南4局 西家・森川ジョージ

近藤「森川さんはツモ切りでヤミテンの利くほうを選びましたね。ペン3筒が結構良く見えたので、このツモ切りも自然な続行だと思います」
梶本「すると、鈴木大介さんが9萬と發のシャンポンでリーチ。發ツモだけが逆転で、それ以外は裏ドラが必要な決断のリーチ。その直後に森川さんが4枚目の1筒を引いてしまいます…」
近藤「結果的にアガリ逃しになりましたが、まあこれは仕方ない」
梶本「2筒が鈴木さんの現物なので打2筒で1-4筒,6萬に待ち変え」
近藤「ラス親で断トツの水崎さんはこの局テンパイ宣言しないはず。森川さんは流局でも逃げ切りですから、冷静な判断だったと思います」
梶本「すると今度はツモ3筒!俗に言う往復ビンタを食らってしまった」
近藤「これはねぇ…ほんと、麻雀の神様はいたずら好きだなぁと思いましたよ」
梶本「この後、鈴木さんの最後のツモに發がいて逆転。決勝行きを決めました。ただ、鈴木さんは対局後に『2着取りに意識が行き過ぎて位置取りばかり考え細かい鳴きをし過ぎた。内容が全然ダメだった』と悔やんでましたが」
近藤「私は良い内容だったと思いますよ。ただ、『鈴木大介としてはダメだった』ということではないでしょうか。最初のインタビューは謙虚さ満載。実力を知っている私には嫌みにすら聞こえましたよ(笑)。麻雀対局も何度かあるし。なんなら将棋の指導をして頂いたこともありますからよく知ってるんです」
梶本「そんな鈴木さんの麻雀を一言で表現すると?」
近藤「場況を大切にしながら、深い読みに基づいて、大鉈を振りかざして攻め倒す。その迫力が魅力ですね」


勝負所を熟知する男・たかし
梶本「一方、予選B卓も熱いオーラスでした」
近藤「特にたかしさんが格好良かったですね。たかしさんも、麻雀に対してとても真摯に向き合っていて、私は質問を受けたこともあります。その時の印象としても、何事にも常に地道な努力をされている方だと思いました」
梶本「たかしさんはトップ目ですが、瀬川さん・金子昇さんがすぐ後ろに控えていて、放銃すれば予選落ちの可能性もある。そこで8萬ポンで目いっぱいのイーシャンテンに構えた」
B卓南4局6巡目 北家・たかし

梶本「この8萬ポンのとき。たかしさんは6筒を残して南切り。ですが、トップ目としてこのブクブクの構えは怖かったと思うのですが」
近藤「マンズが高い場でしたから、たとえドラの5筒周辺でもリャンメン待ちを作ったほうが有利。特にこのオーラスではドラの扱いが軽微になりやすいし。南を残す安全策は、弱い構えだと判断したのでしょう」
梶本「実際、その構想通りピンズが伸びてリャンメンになった。すると。ラス親の松本さんからリーチ。同巡にテンパイが入ったたかしさんは4萬を勝負。この迷いのない押しっぷりは見ていて気持ちがよかったです」
近藤「4萬切り決断の速さは、気合いと根性ですよ。トップ目だから、もっと守備的に打ってもおかしくない。けど、行けるなら行くべきで。こうなった以上は行くという、勝負の仕方も知っているということで。格好良かったです」
梶本「4萬押しの直後。松本さんからロン牌が出て、たかしさんは金子昇さんとともに決勝進出を決めました」

ド本命・鈴木がファイナルへ
梶本「決勝は、水崎・鈴木・たかし・金子の並びで開始。鈴木さんが役々ホンイツドラ2のハネ満をツモってリードを広げて南入。その南1局で鈴木さんらしいアガリが出ました」
近藤「2軒リーチを捌いた局ですね」
梶本「はい。親の水崎さんから4索が出て、チーして3筒を捨てればテンパイなのですが、3筒が親に通っていないのがネック。ですが鈴木さんはこれを鳴いてテンパイを取りました」
近藤「8索は場に2枚切れですが、結構期待できるのが1つ。あと、3筒の危険度ですが、実は少しだけ通しやすい根拠があるんです」
梶本「と、言いますと?」
近藤「リーチ宣言牌が7筒ですよね。このリーチに3-6筒がどれくらい危険か。(8筒はツモ切りなので考えないでおくとすると)5,7,9,9筒という形があって、9,9筒を切り、残った5,7筒に4筒を引いての3-6筒だとします。でもそれなら、2枚目の9筒を切る際には5,7,9筒という形だということになります」
梶本「リャンカンからどちらを切るかという選択ですね」
近藤「はい。この場合、打5筒でカン8筒リーチをかけそうじゃないですか。負けている親ならなおさら」
梶本「たしかに…」
近藤「なのでカン6筒から4筒を引いての待ち変えの可能性が下がる。つまり3筒は勝負しやすい、と判断できるんです。加えて、ここでチーを保留しても3筒のくっつきはフリテンになりますし」
梶本「なら、ここで勝算のある5-8索に構えよう、というわけですか」
近藤「だと思います。トップ目でも攻めを疎かにしない、まさにハイレベルな選択でした。自分が打っていたとして、これができたかどうか…いつもこうありたいものですね」
梶本「明快な解説ありがとうございます。この局アガリきった鈴木さんはトップ目のままオーラスへ。後はラス親・金子さんの攻撃を凌ぐだけ。水崎さん・たかしさんが四暗刻・国士狙いの捨て牌をしているなか、こんなテンパイが入りました」
決勝南4局7巡目 西家・鈴木大介

梶本「しかし鈴木さんは中のトイツ落とし。中バックのテンパイから食いタンに切り替えましたが、この判断を近藤さんはどうみました?」
近藤「これは両脇が大物狙いで中を切ってくれそうなのが親しかいない、というところがポイントです。仕掛けを入れると上家の水崎さんから鳴きにくくなりますが、それでも中頼みよりはマシ」
梶本「次に4索をツモり、中ぶくれ4索と6萬のシャンポン待ち。さらに3索をチーして2-5索に待ち変え」
近藤「4,4,5索からの3索チーで、さらに手中に3,4索がある。相手にとっても完全に想定外でしょうし、アガリは時間の問題という感じでしたね」
梶本「そのまま鈴木がアガリ切って優勝し、ファイナル行きを決めました」
近藤「決勝は、まさに水を得た魚のようでした。また1人、強敵が勝ち進んできて間もなく迎える本番が楽しみです」
梶本「決勝は12月14日(土)12時からAbemaTVで生放送です。今年の最強位が決まります!」

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